9月23日(木)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十二日】第五十九回国連総会に出席したルーラ大統領は二十一日、先進国は発展途上国を再植民地化していると演説した。往年の植民地支配は国際金融システムの永久債務という鎖に取って代わり、ブッシュ米大統領の世界民主化運動は、イラク武力介入の合法性主張に取って代わったと糾弾した。人類は平和維持の戦いに敗れつつある。軍事力だけで目的達成は困難であり、経済発展の保証が平和維持には不可欠だと訴えた。
現在の国際経済システムは「貧困国から搾取し、富裕国へ注ぎ込む」ものだと、大統領は爆弾発言をした。見えない歯車が存在し、絶大な力を持つ権力者らがシステムを管理している。民主主義国家の政策は再々反故にされ、権力者らは国民によって選出された政府の上に君臨し、その主権を無視する。そのために正当な国家計画も断念せざるを得ないとした。
引き続き大統領は、現在の偏狭で利己的なグローバリゼーションを断罪し、それに代わる国際金融システムの構築を要請した。そのシステムは借金地獄でさいなまれるものではなく、いつかは自由の身となる希望の持てるものであること。
国連総会はアナン事務総長の開演の辞に続き、最初にルーラ大統領がスピーチに指名された。続いて、ブッシュ米大統領の順だった。前日ブラジルから打診した貧困と飢餓撲滅に関する提案に、米大統領は何ら触れなかった。
ルーラ大統領の持ち時間十八分が、三分超過した。大統領はさらに米国の一方的外交政策を間接的に批判し、考え方を改めるよう求めた。また国際通貨基金(IMF)に対し、インフラ整備や上下水道工事、住宅建設などブラジルの債務返済能力を高める生産的融資へ必要分信用を供与するよう要請した。
大統領の国連演説は議題のデパートだった。国際経済システムの改善に始まり、飢餓対策、エイズ対策、テロ対策、平和プロセス、ハイチ問題、環境問題、メルコスル問題、国連安保理の改革など。国際問題は国際協調によってのみ平和へのプロセスが進行し、安保理が合法性を判断するべきとした。
大統領は演説終了後の午前中にボリヴィアのメーザ大統領や国連農業機構代表と会談。午後は常任理事国入りを目指す日本やドイツ、インドの四首脳と国連安保理改革について共同歩調を採る打ち合わせを行った。
四首脳会談の音頭を取ったのは小泉首相。日本とドイツの先進国案とブラジルとインドの途上国案には異なるニュアンスがあり、統一案への連携確認が行われた。G4首脳の見解は異なり、安保理改革の難しさを暗示した。
ドイツはアフリカから、南アフリカ、エジプト、ナイジェリアのうち一国を常任理事国候補へ加えるよう提案した。アルゼンチンやメキシコも安保理改革には、一言居士であるが国連総会には出席しないし、前以て根回しもしていない。ブラジルは、米国以外の四常任理事国の支持を取り付けている。