9月23日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】サンパウロ州カンピーナス市で二十一日、携帯電話を偽造し販売していた一味四人が検挙された。
一味は国際電話とくにアメリカ向けの通話ができるようクローン技術で携帯電話にインプットして、アメリカと取引の多い企業や個人関係者に売りさばいていた。当局の取り調べによると、一味は国際的組織に属しており、首謀者はアメリカに在留している。さらに電話は麻薬組織や国際犯罪組織に広く利用されていると見て、当局は解明に乗り出した。
パラナ州クリチーバ市警察は、同州の電話会社から多発している不正通話の告発を受けて内偵を進めてきた結果、サンパウロ州カンピーナス市に一味のアジトがあることを突き止めた。同警察はカンピーナス当局の協力のもとアジトを急襲し、一味を逮捕するとともにコンピューター、クローン用機器、書類と百四十台の携帯電話を押収した。コンピューターには二十万台に及ぶ電話リストが収録されていたが、当局は悪用したのはこれの倍はあるとみている。
ブラジルでの一味のリーダーはアラブ系の四十七歳の男性で、ブラジル人としての身分証明書を所持しているが、ブラジル語を良く話せないことからこれも偽造したとみている。このほかベトナム人も一人交じっている。
一味の犯罪の手口は、空港の出口にレーダーを設置して携帯電話の利用者の波長をキャッチ、電話番号を割り出して偽造するもの。飛行機から降りて、外で関係者や家族に真っ先に電話をかける習慣を利用したもの。
当局は携帯電話の利用者に注意を促すとともに、新規購入の際は、安い通話料金をうたい文句にしている物は背後に犯罪がからんでいる可能性があると警戒を呼びかけている。
偽造携帯によるブラジルの一年間の被害は三億五千万ドルで、全世界では三百億ドルに達している。当局はこの種の犯罪に対する刑罰の立法化を急いでいるが、刑期は一年から五年の軽いものになるとの見通しを示している。