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「ジョルナル・ナシオナル」=直球で硬派 生産力高い=日本の「テレビニュース研究会」が国際比較

9月24日(金)

 ブラジルの硬派な報道番組に驚嘆――。世界各国の報道番組を比較研究する「テレビニュース研究会」に所属する研究者三人がこのほどブラジルを訪問。約三十年前から続けているアメリカとイギリス、日本の主要報道番組に加え、今回初めてブラジルのグローボ局が対象となった。研究代表者の小玉美意子武蔵大学社会学部教授と小田原敏同教授は、グローボ局の看板番組である「ジョルナル・ナシオナル」について「こんなにブラジルの放送局の番組の生産能力が高いとは思わなかった」と驚きの声を上げる。
 三十年前からアメリカのCBS、イギリスのBBC、日本のNHKを対象に比較研究し、報道番組に映し出される文化的背景などを探ってきた同研究会。また、海外を訪問し現地調査も行ってきた。今年四月から同大学で講師を務めるサンパウロ出身の日系三世、アンジェロ・イシさんが同研究会に加わったこともあり、四度目となる今回の現地調査には初めてブラジルが加えられた。
 小玉教授はフジテレビのアナウンサーを退職後、カリフォルニア州立大学留学などを経て九五年から同大学教授。二〇〇一年から二年間、社会学部長も務めており、著書も多数。
 シンクタンク出身の小田原教授は関西大学総合情報学部で教鞭をとった後、今年から武蔵大学教授。
 ブラジルではサンパウロとリオデジャネイロにあるグローボ局を訪れた小玉教授ら三研究者。ブラジルでの研究テーマの一つが「アメリカのニュース支配が、ブラジルにどれほど及んでいるか」(小田原教授)だった。小玉、小田原の両教授は日本でも報道番組のバラエティー色が強まる傾向があるのに対し、ジョルナル・ナシオナルの報道姿勢について「こんなストレートで硬派な番組で視聴者を惹きつけられるとは驚きです」と賞賛。
 また、アメリカ寄りに傾きがちな日本と嫌米色が強い欧州とは異なり、ブラジルの報道は「寄らず付かずと絶妙な距離を保っている」とそのバランス感覚についても、新鮮に写ったと小田原教授は言う。
 ブラジル訪問後、イギリスとアメリカにも足を運んだ小玉教授らは、今回の研究成果について書物などの形でまとめたい考えだ。