9月25日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】二十三日午前、リオ市の目抜き通りのブラジル大通りで暗黒街の元ボスが小銃で射殺された。麻薬犯罪史上で名を馳せた極悪人の一人に挙げられ、その非業の死は運命ともいえるが、あっけなかった。
死亡したのはジョゼー・カルロス・ドス・レイス・エンシナ、通称エスカジーニャで、自営のタクシーでブラジル大通りを走行中、走り寄ったバイクの二人組に小銃で狙撃された。目撃者によると、犯人はバイクの後部に後ろ向きに座り小銃を発射したもので、明らかにエスカジーニャを狙い撃ちしたという。バイクはそのまま走り去った。
エスカジーニャは八〇年代に現在リオ市最大の犯罪組織となっているコマンド・ベルメーリョを創立した三人のメンバーの一人で(後の二人も数年前に何者かに殺されている)、リオ市北部のファベラ地帯を本拠に麻薬組織を牛耳ると共に、銀行襲撃や誘拐など悪業の数々を働いてきた。当時の州知事が選挙戦に実名を挙げて逮捕を公約にする程だった。その公約通り一九八二年に逮捕されたが、数度脱走している。なかでもヘリコプターを乗りつけ脱走するという史上初の大胆な行為で世間を驚かした。しかし、その後は獄中にあり、一九九九年に一定の刑期が過ぎたことで、日中の仮釈放(夜は刑務所で寝泊り)が認められ、タクシー業をしていた。
当局によると、殺害はコマンド・ベルメーリョの仕業の可能性が大きいという。エスカジーニャは創立メンバーだが、現在では権限がなく、彼が新組織に肩入れをしていたのが原因だとみている。いっぽうで、エスカジーニャが加盟しているタクシー組合内で何らかのトラブルがあった可能性も指摘している。関係者によるとエスカジーニャは持ち前の強引さで組合内の影の支配者と異名をとっていたという。