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和麺=日本起源のブラジル文化になるか(5)=汁につけたマカロン〃=ブラジル人向け新戦略

9月25日(土)

うどん・蕎麦について知れば、みんなもっと食べるようになるかもしれない――そう考える人は多い。
 特に蕎麦の普及には、健康食としての面を強調するのがいいのでは、という意見が多く、レストラン「美松」の主人・水村博親さん(64)もその一人。「マクロ・ビオチコっていう言葉がだいぶ前に流行ったなぁ……」とつぶやく。
 蕎麦は精製しないで全粒(むぎ実)として利用するため、米や小麦と比べて栄養価が非常に高く、タンパク質やビタミンBが豊富。
 また蕎麦に含まれる「ルチン」という成分は、ビタミンPの一種で(1)毛細血管の強化(2)血圧降下作用(3)すい臓機能の活性化(4)記憶細胞の保護・活性化に効果を発揮する。
 健康食品としても非常に優秀な蕎麦だけに、一世の減少とともに廃れていくのは非常に惜しい。         ◇
 料理店協会(アソシアソン・ブラジレイラ・デ・クリナリア・ジャポネーザ)も、寿司・刺身以外の日本料理普及に乗り出している。
 一九九三年「コレラ問題」発生時に、日本食を守ろうと一世の料理店主人や職人が中心となって組織したのが同協会。
 一世の高齢化に伴って活発さを失っていたが、約一年半前にレストラン「シー・ハウス」の川内ウーゴさんが会長になってから再編成が進み、新しくレストランの店員ら日系二、三、四世やブラジル人を仲間に加えて現在は約五十店舗が加入している。
 多数の新加入者が、日系人の拠点だったリベルダーデ区を離れた場所に店を構え、非日系人をターゲットにして日本食を売り出しているようだ。
 森教授は「革新はいつもリベルダーデの外側から起こる」と話す。寿司食べ放題などの新たな日本食サービス法は、イタイン・ビビ、モエマ、モルンビー地区などから始まるのだという。同協会の新加入者たちは、まさに日本料理に革新を起こす人たちなのだ。
 しかし「新しい日本料理の店にうどんや蕎麦は置かれていない」と川内さんは話す。つまり、うどん・蕎麦をめぐる革新が起こる可能性は低いということだ。
 だが、川内さんはうどん・蕎麦の存在を広めればブラジル人ももっと食べるようになると考えており、積極的に普及に努める。
 七月二十三日から二十五日まで行なわれた日本祭りにも出店。寿司、刺身に加えてうどんも出した。濃い味つけを好むブラジル人向けに砂糖を控えめにして辛めに仕上げたうどん。しかし、寿司・刺身の好評ぶりに反して、うどんの売れ行きはイマイチだった。
 普及活動は今後も継続する。来年の冬(五、六月頃)には「日本料理は寿司、刺身だけじゃない」とブラジル人にもっと知ってもらうことを目的に「冬祭り」開催を計画している。
 あまりブラジル人に馴染みのない日本食をブラジル人に食してもらう機会を提供。麺類も〃汁につけたマカロン〃として売り出すつもりだ。つづく。        (大国美加記者)

■和麺=日本起源のブラジル文化になるか(4)=ブラジル人の味覚に「近づけよう」の試み
■和麺=日本起源のブラジル文化になるか(3)=うどん用小麦粉がない=ブラジル産そば粉は上等
■和麺=日本起源のブラジル文化になるか(2)=アンドウ・ゼンパチ記述 「うどんで精神的空腹も和らぐ
■和麺=日本起源のブラジル文化になるか(1)=うどん、蕎麦需要伸び悩む=ブラジル人に低い認知