障害にも負けず二大会連続の金メダル獲得――。アテネで開催中のパラリンピックで二十六日、日系三世のファビアーネ・ハルミ・スギモリ選手(23)が水泳の五十メートル自由形で金メダルを獲得した。スギモリ選手は二〇〇〇年のシドニーに次ぐ二大会金メダルだけでなく、世界記録も更新。大会前、ニッケイ新聞記者の取材に対し「メダルと世界記録更新のため、沢山練習してきた」と語ったスギモリ選手。視覚障害を物ともしない泳ぎぶりで見事に目標を達成した。
障害者による世界最高レベルの競技大会、パラリンピック。一九八八年のソウル大会から「パラ(もう一つの)」+「オリンピック」=「パラリンピック」が公式名となり、四年に一度五輪と同じ年に同じ開催会場で開かれてきた。今大会は十二回目となる。
カンピーナス市在住のスギモリ選手は、二十三歳の若さにも関わらず国際経験は豊富で、九六年のアトランタ(米国)前回のシドニー(豪州)にも出場。〇二年にアルゼンチンで行われた世界選手権でも金メダル二つと銅メダルを獲得していた。特に五輪の前大会ではブラジルの視覚障害選手で初となる金メダルを得るなど期待は高かった。
二十六日のレース会場には母ら家族がその勇姿を見守った。金メダルと世界記録更新の二大目標を目指したスギモリ選手は、力強い泳ぎを披露し、これまでの世界記録だった三三・一七秒を上回る三二・三五秒で優勝した。「選手団の一員になれただけでなく、メダルを取ることができた」と快挙を振り返ったスギモリ。
カンピーナス市の自宅では二世の父、ナオユキさん(59)がケーブルテレビの番組で見守った。取材に対しナオユキさんは「一家の夢が叶いました。娘が帰ってきたら誉めてやりたい」と声を弾ませた。
二十七日現在、過去最高となる十二個の金メダルを得たブラジル。先日終了したアテネ五輪ではメダルゼロの不振に終わった日系選手の悔しさを、見事にスギモリ選手が晴らして見せた。