9月29日(水)
南マットグロッソ州のドウラードス日本語学校モデル校(城田志津子校長)は十八日午後七時過ぎから、創立十五周年記念式典と「春祭り」を開催した。ジョゼ・ラエルテ・セシーリオ・テチラ市長ほか、バルゼア・アレグレ、カンポ・グランデ、共栄、ラランジャリーマ、ファチマなどの周辺の日本人会役員ら六十人が出席した。
同校生徒による勇壮な和太鼓で式典は開幕。舞台上に並んだ十六人は、三人一組で一つの太鼓を踊りながら交代で叩き、その複雑な所作とリズムに「美しい」との歓声が沸き、大きな拍手が送られた。
これは七月に行われた研修時に、パ国のイグアスー移住地にある太鼓集団「鼓太郎」(沢崎琢磨責任者)が二日間に渡って指導したもので、その後も子ども達が放課後などに練習を重ねていた。
日ブラジル歌を斉唱し、城田校長が挨拶した後、浄土信之JICAシニアボランティアは「先輩たちが一生懸命に勉強し、あちこちに卒業生がいる。更なる発展を」との言葉を贈った。
南マットグロッソ州日伯文化連合会の小野享右会長は「日本語を通じて〃よく考え、心豊かな思いやりある人〃作りを目指してきた。関係者の支援、校長ら先生方の努力に感謝したい」とし、次なる十年への誓いを新たにした。
さらに、テチラ市長も「一つの国の言葉や文化が長い間、守られ、伝えられていくのは大変良いこと。末永く続けてほしい」とエールを送った。第一回卒業生代表の伊藤由美さんも感謝の言葉を述べた。
同校の幼稚部(六歳以下)と小中学部クラスの卒業者は、十五年間でそれぞれ六十七人。城田校長は「在籍者なら何十倍になるのですが、途中から入って辞めてしまう生徒が多い」と残念がる。現在では「卒業証書を手に入れる生徒は四十人に一人ぐらい」とも。
現時点での在校生は五十五人ぐらいだが、昨年までは平均して七十五人ぐらいいた。
今年は旱魃で大豆の収穫が悪く、値段も安かった。追い打ちをかけるように、冬期のトウモロコシも今までにない低価格だった。生徒の親から「今年一年休ませるから。景気良くなったら来年入れます」という断りの電話が、今年の二~三月に学校に相次いだ。
城田校長は「そんな中でも教師の数を減らさず、もちこたえた。役員の方々に頭の下がる重いです」という。同校にはボランティア教師が三人、有給教師が六人いる。
同市内には約八百家族の日系人が、大ドウラードス圏なら約千二百家族在住している。同校長は「九五年ぐらいまでは移住地の子どもが多かったから、日常会話のできる子が多かった。現在は一から会話を教えなくてはならない状況です」と生徒の質の変化を分析。「これからも人材育成に努めていきたい」と力強く抱負を語った。
式典の後は「春祭り」がなごやかに行われた。モデル校からは、低学年が「元気一番」を歌いながらハッピ姿でお遊戯を披露した。共栄分校生徒の「ひまわり」踊り、よさこいソーランなど、歌や笛の演奏も行った。最後は生徒全員七十人により「バラが咲いた」と「カントリーロード」を元気に合唱し、午後十時ごろ終わった。