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感激の思い本音で=「小泉総理=ラジオで語る」=来伯中に広報番組を収録

9月30日(木)

 「本当に胸に迫る思いがしましたね」――。小泉純一郎首相は来伯中の十六日、首都ブラジリアで政府広報ラジオ番組「小泉総理 ラジオで語る」の収録に臨み、グァタパラ移住地などで日本人移民から熱烈な歓迎を受けた喜びなどを振り返った。同番組初の海外収録でその模様は十八日、日本全国三十八局で放送された。多数の一世移民が押し寄せた歓迎会でむせび泣き、世界中から注目された首相。そのわけについても率直な言葉で本音を語っている。
 (略)日本から移民してきた方々は、最初はコーヒー園での重労働に苦労したそうです。飛行機の上から見ますと、土地が赤茶けているんですね。だから、肥沃な土地じゃないですね。不毛の荒野を開拓したんだと思います。現在の我々から考えると、想像を絶するご苦労だったと思います。
 私、サンパウロに朝着いたんですけれども、すぐ小型ジェット機でこのサンパウロから約350キロも北にある、プラドポリスという町に飛んだんです。そこからまたヘリコプターに乗り換えて、空からサトウキビ畑、あるいは、オレンジ畑を視察したんです。広大ですね。日本では信じられないですよ。もうはるかかなた、もう一面、全く農場、農場ですから。本当に広かったです。
――本当にブラジルは広いですね(司会)。
 途中、日本人移民が最初に開拓した、グァタパラという土地があるんです。この上を飛ぶ予定になったんですけれども、前から日本にいるときから、もしそこに来るんだったらば、長年農業で苦労している人たちが待っているから、ヘリコプターの上から、日本国の総理大臣が来るんだから、花束でも投げてくれればありがたいな、ということを言われていたんです。
 それで、その土地に行きましたら、運動場ぐらいの広さのところに、日本人移住者の人が2~300人ですか。もう手を振って、私が乗っているヘリコプターに向かって歓迎しているんです。そこに、地面に「カンゲイ小泉総理大臣」という字が見えたんです、大きく。
 そこで、これだけ多くの地元の日本人移住者が集まって私を歓迎してくれていると、飛行機の上に向かって、私の顔が見えるかどうかわからないのに手を振ってくれているんですね。これで花束を投げて帰って本当にいいんだろうかと、申し訳ないなと思ったから、パイロットにお願いして、何とかここに降りることはできないのかと言ったんです。
 降りてくれて、そうしたら思いがけないことでしょう。もう日系人たちが飛んできてくれて、もう顔をくしゃくしゃにして、涙を流しながら、よく来てくれた、と私の方に駆け寄ってくれて、握手したり抱き合ったり、もうすごい大歓迎してくれたんです。
――うれしかったんでしょうね。
 うれしかったですね。ああいう日本の移住者は、遠い日本故国を離れて、望郷の念というのは、我々の想像を超えるようなものがあると思うんです。困難にめげずに頑張ったんだと。やっと日本の総理大臣が来てくれたのか、という喜びを全身に表してくれましたね。私も思わず涙が出ましたよ。本当にいい視察をすることができたなと、私も来てよかったなと思いました。本当に胸に迫る思いがしましたね。
 また、ブラジリアでは、ルーラ大統領と首脳会談をして、これから日本とブラジルの協力を発展させようと、そういう共同文書を発出することができました。2008年、あと4年後には、日本人が移住してから100周年を迎えるんです。この100周年に向かって、一層、政治、経済、文化、スポーツ、芸術等、交流を盛んにしようと、そういう話し合いをしました。
 私は、南米を訪問するのは初めてなんです。ブラジルも初めてなんです。しかし、いろんな方々とお会いして、日本とブラジルは地理的には遠いけれども、本当に日本の移住者を通じて身近な国だなと感じました。
 今、逆に、日本からブラジルに移住するんではなくて、ブラジルの二世とか三世、この方々が、今、日本に約27万人来ているんですね。そして日本の経済の発展に協力してくれる。日本から移住した日本人をブラジルの国民は温かく迎えてくれた。だから、今度は、ブラジルの日系の方々が日本で活躍して、こういう方々を日本の国民も温かく迎えて活躍できるようにしなければいけないなと痛感しました。