10月1日(金)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙三十日】十六日間続いている銀行員ストに対してサンパウロ州労働地方裁判所は二十九日、スト中の行員六〇%は職場に復帰し、銀行全店は三十日より必需業務を開始することを命じた判決を下した。判決未履行の場合は、一日につき二十万レアルの罰金を銀行員労組へ課すとした。労組は裁判所の判決を拒否し、スト継続を宣言。さらに労組は銀行支店の入口に障害物を設置し、営業阻止を図った。同労裁は労働検事局へ、ストの違法性の証明を請願した。
全国の銀行員四十万人が、二五%のベアと利益配当、基本給千二百レアルを求めてスト入りした。サンパウロ州地方労裁のペドロ・T・マヌス副長官は、必需業務の遂行を果たすためスト行員の即時職場復帰を求め、各支店の行員六〇%は出勤するよう命じ、労働検事局に対して通常業務の七〇%の継続命令を請願した。
判決は、全国二十四の州都に規模を拡大しているストにも適用される。労働高等裁のアビダーラ長官は、集団争議処分を執行するためサンパウロ州地方労裁の判決を待っていたと述べた。銀行ストを扱う労裁関係者は三十日に首都ブラジリアに集まり、ストの違法性を最終協議する。
十一月は新規に申請したサンパウロ州の年金申請者四十万人が受給を始める時期で、銀行業務は必需業務となっている。罷業法では、ストによる必需業務の全面停止を禁じている。従って行員の六〇%は出勤し、必需業務を遂行しなければならない。年金の十月分支払いが始まった二十日、行員はノロノロ・ストを行った。
銀行労組は地方労裁の仮判決が、罷業法に全面対決を挑むものと批判した。サンパウロ州では三千五百の銀行支店が門を閉じ、対決姿勢を見せた。ストは迷惑を掛けるもので、迷惑の掛からないストは効果がないと労組はいっている。
ストがブラジル経済に与える影響については、労組もスト参加者も責任を問われない。連邦令は、スト権を正式に認めている。ストで迷惑を被った被害者は、泣き寝入りとなる。扇動した行員はスト終了後、配置換えされる模様。
セアラ州地方労裁のカヴァルカンテ裁判長は二十九日、七十二時間以内の臨時行員採用を命じ、通常業務とATM(現金自動支払い機)の機能継続を強要した。代行請け負い業者の導入も選択肢に入れた。
銀行側が臨時行員の採用を怠るなら、中央銀行が臨時採用を代行するとした。セアラ州労裁では銀行員ストを違法と断定し、毎日五万レアルの罰金を課した。銀行労組はこれを不服として裁判所へ提訴した。
銀行ストのために年金生活者の一〇%が全国で受給漏れになると、社会保障院はいう。新たな年金申請者二百三十万人は、年金カードを受取っていないため引き出しができない。
ルーラ大統領は地方選終盤で市民に迷惑を掛けるストが続くことに憤慨した。年金を唯一の命綱とする高齢者や遺族、また生活扶助金を待つ極貧家庭の面々にとって銀行ストは恨まれるという。国家経済の心臓部に当たる銀行ストに介入できないのが、政府の泣き所となっている。