10月1日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】リオ州レゼンデ市にある、商業利用を目的とした初のウラン濃縮施設の完全査察に国際原子力機関(IAEA)がこだわる理由は、パキスタンが数年間極秘裏に開発を進めてきた遠心分離機をブラジルが密輸したと、IAEAが疑っているからだと米国防省元高官が発言した。
ブラジル政府は、遠心分離機は国産技術の開発成果であり、産業機密保護の観点から目視も含めた完全査察を拒否してきた。しかし同高官によると、ブラジル政府が拒否するのは、遠心分離機がパキスタンのそれと確認可能な証拠を隠滅する時間を稼ぐためだという。
アラマール研究センターで七〇年以降に開発されたブラジル製遠心分離機は、低コストと高い効率で最も速く天然ウランを濃縮でき、他国で稼動している分離機より優れているとされる。「優れたものがあるのに、パキスタンの遅れた技術を政府が買い取るとみなされるのはばかげている」と物理学者のバーロス氏はコメントした。またブラジル製遠心分離機の開発技術は、ブラジルが参加する核拡散防止条約(TNT)に反するものでもなく、商業目的としている点でIAEAとの協定を破るものでもないとしている。