10月1日(金)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十三日】春の訪れと共に猛暑に見舞われているサンパウロ市だが、高齢者たちはその日射しを心待ちにしていた。とくにラジオ体操愛好者には早朝の春の空気が何ともたまらないのだ。ラジオ体操は日本で古くから伝わる体操で、屈伸運動にエアロビックを織り込んだもので、ブラジルには七〇年代に導入されたとフォーリャ紙が紹介している。
ラジオ体操は普及の輪が広がっており、リベルダーデ広場やアクリマソン公園では大規模・恒例化している。先にアニャンガバウ広場で三百人近くが参加してラジオ体操集会が開かれた。しかし一定の集会場に行かずに近くの広場で気軽にラジオ体操を行う動きが出てきた。
火付け役はアンジェラ・クレベルさん(50、公務員)で、四年前からレプブリカ広場でのラジオ体操とその講習会に参加してきた。指導員の資格を得たことから、地域での少数区分化を思いつき、手始めに自宅の前のグラベイロ・ロペス広場(中心部)で友人らに参加を依頼して体操を始めた。その後、アパートの窓から眺めていた高齢者らが降りてきて輪に加わり、現在では四十人以上が毎朝彼女(先生)の到着を待つ程になった。
その後ペロラ・ビングトン広場でも始め、三十人から四十人が集まるようになった。そのうち参加者はそれぞれのアパート内の広場で十人から十五人でラジオ体操をするようになった。
参加者の一人、ミチエ・ミヤシロさん(五三)は、脳腫瘍の手術で歩行困難となったが、体操で元気を取り戻したという。彼女は毎朝三カ所を回って体操を続けている。「体操は体のためだが、参加する人と仲良くなって会話が楽しめ」、「同じアパートに長年住みながら顔を合わすこともなかったが、体操のおかげで友達になれた」と話す。ラジオ体操は「社交体操」にもなっている。