いつも軽妙な筆致で随想を書き、ほおを緩(ゆる)ませてくれる山添良一さん(元南伯農協中央会広報主任)。現在、カンピーナスに在住。最近、便りで、これからやって来る「出水」の被害にふれ、暗に「この人災、なんとかならないか」と怒っていた。
山添さんによれば、出水の「名所」は移動(移転?)する。サンパウロの名所は、六〇年代まで旧メルカード、次いでパカエンブー、現在はマルジナルとアリカンヅーバ大通り。治水工事がうまくいくと、次に移る。旧メルカードの頃は、勤務先が近いせいもあって、出水の際、夥しい量の西瓜や南瓜が流されるのを見た。最近は、もっぱら自動車だ、と。
テレビで見ている者には一種の風物詩だろうが、命からがら自動車から脱出した被災者にとっては、恨み骨髄に徹する出来事だ、いうのである(神)
10月2日(土)