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相撲に人種は関係ない=SESCで全伯大会=日本からの3力士に歓声

10月6日(水)

 「みんな負けたら悔しがるし、相撲に人種は関係ない」。二日、サンパウロ市のSESCコンソラソンで第二回全伯相撲大会(ブラジル・アマチュア相撲連盟主催)が行われ、大会を盛り上げるために来伯していた豊乃国は、選手の懸命な姿を見て嬉しそうに語った。大会にはまた、東心山、東旺の二力士も参加し花を添えた。
 サント・アマーロの赤土を使用した土俵を特設。その上に張られた天幕が選手や観客の気分を盛り上げた。全伯から強豪百二十人が参加し、年齢性別によってカテゴリーが分けられ、勝敗が競われた。
 メインとなる男子大人の部で優勝を果たしたのは、日本で六年間、角界(時津風部屋)に身を置いた経験を持つ、藤代ジェラウドさん(27、パラー州)だった。「地元のみんなに絶対優勝して来いと言われていたので、それに応えられて本当によかった」と初参加で初優勝した喜びを興奮した様子で語った。
 年齢が下がるにしたがい、非日系選手が目立った。 
 「現在、(相撲競技者人口のうち)日系人は二割程度じゃないかな」と加藤藤司さん(74、モジ・ダス・クルーゼス市)は語る。十六歳の頃から相撲を取っており、「当時は非日系の選手は珍しかった」。日系人が減った背景についてはデカセギに加え、「(最近の)日系人の若者はスポーツへの興味が全般的に薄いのではないか」と指摘。「日系人が増えて欲しいが、厳しい現状だ」とぼやいた。
 また、技の相撲ではなく力の相撲が支配的になっていることにも危惧し、日本からもっと力士が来伯し、指導することを望んだ。
 三力士が技の披露や、練習風景の実演を行うと会場を埋め尽くす七百人以上の観衆が集まり、力強さ、体の柔らかさを目の当たりにして歓声を上げていた。その後も力士の周りには、終始サインを求める人だかりができた。
 ブラジル出身(サンパウロ市)の東旺は、試合を見ながら、「うまい!センスがある」と、日系人選手の取り口を見て思わず口にした。「日系人の方が(非日系より)相撲のセンスがある」とも。
 「日本のプロ相撲が、またブラジルに来れるように応援よろしくお願いします」とは東心山。
 元若東、黒田吉信大会実行委員長は、「努力すれば必ず成功するということを伝えるのが(今大会の)目的。いい大会になったと思う。しかし、もっと前に出る相撲をしなければならない」と笑顔交じりに感想を語った。