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初のルーラ・パウエル会談=信頼と友好を確認=国連安保理の資格認める=核問題は気にせず

10月7日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】来伯中のコリン・パウエル米国務長官は五日、ブラジルについては核拡散の懸念はないとする声明を発表した。政府が国際原子力機関(IAEA)による核融合設備の査察を拒んだことで、ブラジルとIAEAの間で思わぬ疑惑が生じた。米国務長官はイランや北朝鮮については警戒するが、ブラジルに同様の意図がないことを確信すると放念の意向を表した。国連安保の常任理事国入りについては、候補国としての資格を認めた。
 パウエル長官は核拡散防止についてブラジル政府に対する懸念は、米政府の眼中にはないという。リオ州レゼンデ市の核融合設備の査察で、ブラジルとIAEAの間で生じている疑念には、否定的立場を表明した。伯米間は政治的に同盟関係にあり、原子力の平和利用を謳っている連邦令の順守を信じると述べた。
 同長官は五日、伯米商工会議所主催の朝食会に出席、貴賓のユダヤ教ラビ、ヘンリー・ソーベル氏から核拡散が大統領との会談議題に上がった理由について問われた。同長官が、それはブラジル政府とIAEAの問題であって、伯米間の懸念ではないと返答した。しかし、近日査察団が着伯する予定となっている。
 長官の一行は五十人のメンバーからなり、そのうち二十人はボディ・ガードという物々しさ。ブラジルは核大国ではなく民主大国であることが、国際舞台で活躍するために常任理事国候補として望ましいことだと、その実態を称賛した。
 世界各地へ平和部隊を派遣し円滑な通商活動を支援できる体制維持が常任理事国に求められ、ブラジルはそれだけの実力を備えた国であるとした。しかし、常任理事国の増員について具体案がないので、特定国の支援はできないという。大統領府は同長官から、ブラジルが世界のリーダーとして足る国と烙印を押されたことで感激している。
 外務省のペドローザ次官が、会談はハイチ派兵など国際問題に関する伯米間の見解調整に留まり、核査察と常任理事国推薦、米州自由貿易圏(FTAA)には触れなかったと述べた。
 一方、核融合設備の査察でブリックス国連査察団長は、ブラジル政府がレゼンデの核施設について何も隠す理由はないと言明した。査察団は徹底的解明を行うので、ブラジル政府は査察に協力せよという。IAEAは〇四年当初より核融合設備の増設計画で、詳細報告を拒む政府の非協力的態度に不満を抱き圧力を掛けていた。
 IAEAは政府に対して、ブラジルが核問題で不都合な前例を作ると警告した。世界が納得するような形で、ブラジルも核設備を公表せよと要求した。パキスタンのカーン博士が個人的に核融合技術を諸国へ提供したので、IAEAは足跡を追求する考えだ。
 国際政治の舞台でブラジルの役柄が注目されているので、ブラジルが模範を示すため公明性を求めるとした。IAEAはこれ以上、反動勢力の台頭を望まないという。ブラジルの核査察と常任理事国入りは、混同しないとしている。