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激化するギャング抗争=「血の洗浄は必至」=ファベラの医師が実態を報告=リオ

10月9日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】リオ市のファベラ(スラム)は麻薬組織のギャング団の要塞となっており、一般市民はおろか警察も立ち入ることが出来ない。入口にはバールが開店しており、不審者が近づいたら要所に連絡が行くようになっている。ファベラ住民には、かん口令が敷かれて、情報を流すと死の報復が待ち構えている。そのため当局でも実態がつかめず、事件の捜査も進展しないのが実情。しかしこの程、ファベラ内の診療所の医師が、多数の人命に関わる問題だとして当局の対応を促すために、初めてギャング抗争の実態を明るみにした。
 この報告をしてきたのは国際NGO(非政府団体)に属するオランダ人の医師で、ファベラ内の診療所に勤務している。この診療所は先週末、対立するギャング団が抗争を続けているリオ市北部のビガリオ・ジェラルとパラダ・デ・ルカスの真中に位置している。同医師によると、ビガリオはもともと麻薬組織コマンド・ベルメリョの支配下だったが、隣接のパラダを縄張りとしていた別の組織のテルセイロ・コマンドが武力装備で乱入し占拠した。これにより住民百五十家族がファベラを追われた。住民に危害を加えなかったものの、コマンドに属する住民の家屋はことごとく壊されたという。同医師は、乱入の際の戦闘で死者三人、負傷者四人が出たという。コマンド部隊はファベラから立ち退いたが、取り返しの武力行使に出ることは必至で、そのためテルセイロ部隊の八十人が重装備で夜を徹して見張りをしているという。これにより、事が起きれば「血の洗浄」は避けられないとして当局の対応を求めている。さらに同医師は警官がパトロールで現れても三十分で引き上げているとし、ギャング団に買収されている可能性もあると指摘している。
 リオ市の麻薬犯罪に詳しい関係筋によると、同医師の指摘は妥当だとした上で、これまで一大勢力を誇ってきたコマンド部隊は幹部の逮捕で勢力が衰え、代りにテルセイロ部隊や新勢力のアミーゴ・ドス・アミーゴ部隊が台頭してきたという。この両部隊は凶暴で何事にも武力行使をするため、勢力争いは武力闘争になるとして当局の治安強化を促している。