10月15日(金)
茶道裏千家の中南米普及五十周年を祝い、今年初頭から数々の記念行事がブラジルでも行われたが、メキシコシティの茶道裏千家淡光会総本部で、去る九月二十三日から、記念行事が繰り広げられた。これをもって、五十周年記念行事はすべて終了、十五日午後一時からマツバラ・ホテルで実行委員会解散式が行われる。メキシコでの行事にともない、裏千家ブラジルセンター(林宗慶代表)と県連ふるさと巡り共催による慶祝訪墨団が結成された。団長が中沢宏一県連会長、団員四十人。二十二日出発、記念式典や地元のコロニアとも交流、多大の成果をあげて帰国した。
メキシコ初日の二十三日、日墨学園、メキシコ日本文化協会を訪問。裏千家メキシコ協会のベハール会長宅では、国宝待庵の写しの茶室、忘筌庵や展示室も見学。メキシコ出張所では茶室見学、呈茶もあった。メキシコに根付いた茶の湯を見ることができた。
二日目、チャプルテペック城(内部は国立歴史博物館)で、午前十時から記念式典が行われた。マルタ・メキシコ大統領夫人や西村六善日本大使夫妻ら主賓が見守る中、千玄室大宗匠により功労者表彰。またマルタ夫人には呈茶が行われ、親日家で裏千家を訪問したこともある夫人は、おいしそうに茶を喫していた。
午後から、国立人類学博物館に会場を移して大宗匠(鵬雲斎十五代家元)の講演会や且座のデモンストレーション。大宗匠の五十年間の海外における茶道行脚の一言一句が、参加者には身にしみ入るようだった。夕刻は、ホテルニッコーメキシコで記念晩餐会、マリアッチ楽団や民族舞踊で賑わった。
三日目。メキシコシティの中心部ソカロのメトロポリタン・カテドラルで献茶式。大宗匠による世界平和祈願の一碗は、大聖堂主祭壇へ。二碗目はサンフェリッペ像に捧げられた。メキシコ人宣教師フェリッペは、一五九七年長崎で殉教した二十六聖人の一人。
四日目は、北米、南米、日本から参加した六百人の茶人たちにより、ニッコーメキシコホテル内に五カ所の席が設けられた。メキシコ、アルゼンチン、ペルーの合同席は、四畳半にしつらえた濃茶席。『謝茶』の軸の前で呈茶。北米席は、六カ所で各地方の道具を使った立礼方式の略盆席。日本席は大海をイメージした中での和親棚。ブラジル席は「南十字星の席」とし、ロドニッタの貴石の大水指にヤシの実を彫り込んだ鳩の花入。水牛に水晶カジューの実の蓋の薄器や芋茶杓など。珍しい茶道具と共に、白紗で屋根をはり、十字星を表現。各国の人々に喜ばれた。
打ち上げパーティーは、貴族の館を改造したアシェンダ・デ・モラリスで絢爛豪華に行われた。翌日からは、テオティワカンのピラミッドや国立宮殿、グアダルーペ寺院の見学。また近郊の別荘地クエルバカや銀の町のタスコなども訪れ、三十日、無事帰国した。
今回茶道実践、普及の功労で表彰を受けた人たちは――
[五十年以上]武田宗芳、武田宗知、山下宗程、[四十年以上]鶴賀宗里、武田宗清、元家宗恵、滝沢宗道、広瀬宗純、[三十年以上]桑島宗和、川村宗幸、谷口宗幸、里美宗文、百瀬宗美、土屋宗都、井田もとめ、前田静香、[二十年以上]中尾宗中、松原宗美、西村宗香、増田宗節、池田宗美、福田ツナ子、西美津江、岩上宗輝、尾形とし子、荻野宗香、茶木宗喜、藤平宗清、カルロス・シリーロ、陶宗磨、浜岡宗光、松井宗一、長谷川宗翠、エリソン・T・リマ、三原宗静、中尾仁郎、坂野宗蘭、椎木香西宗喜、西村妃土美、小田文子、丸尾玉栄、長尾宗尾、山内宗絹、藤原美絵、須郷昭代。