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遺伝子組み換え=大豆の栽培を許可=暫定令が発効=06年1月までの有効期限=コスト25%節約に

10月16日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】ルーラ大統領は十四日、遺伝子組み換え(GMs)大豆の〇五年度栽培を許可する暫定令に署名した。すでに大豆は、植え付け期に入っている。同暫定令は八月以来、公認の可否が再々議論され保留されてきたが、泥縄式にようやく決着した。GMs大豆の販売は、〇六年一月まで許可される。同暫定令公布で農務省のGMs解禁に向けた主張が、環境省の執拗な阻止を押し切って認められた。
 農務省と環境省の熾烈な綱引きがGMs解禁のために繰り広げられたが、大統領の暫定令署名で〇五年度は決着した。署名に先立ち大統領とシウヴァ環境相が最終会合を行った。実質的に環境省の政治的敗北と見られ、環境相は無念の涙を飲んだ。
 環境省は同暫定令を手続き上の事故とし、GMsに関する最終決着は議会で争うとしている。大統領の判断は、すでに大豆の植え付け時期に入っていることで後手であるが応急措置であった。バイオ関連法修正案は上院通過後、下院へ回されたが地方選のために審議待ちとなっている。
 農務省の統計によれば、大豆生産者は二十万トンのGMs大豆種子を購入している。今回の暫定令は〇三年九月、現政権が初めてGMs大豆の栽培を公認した暫定令一三一号とほぼ同一内容であった。国家経済の発展を優先するため、環境相は戦況芳しからずといえども、まだGMs阻止で闘争継続の構えだ。
 今回の暫定令によれば、〇六年一月三十一日時点で売れ残ったGMs大豆は、全部廃棄しなければならない。〇四年のGMs大豆の種子は栽培を許可したが、販売と州外持ち出しは禁止した。GMs大豆の種子用栽培は、〇五年も禁止。これら禁止条項は、バイオ関連法が議会で承認されるまで有効と見なされる。
 大豆生産者は〇三年と同様に、品質保障書と品行証明書を発行することを義務付けられる。農務省と環境省が、監督のため各農場に巡回するという。
 暫定令の公布にはロドリゲス農相の奔走があったためだが、南大河州の大豆生産者は大統領が署名したことで安堵の胸を撫で下ろした。生産者はGMsのお陰で、生産コストが二五%節約になるといっている。同州の生産者はGMsは、もう引き返せない所まで来たとみている。
 国立銀行はGMsの栽培が公認されるまで、農業融資を拒絶していた。生産者は早期に、植え付け資金捻出のために民間銀行へ走った。それに銀行員ストがかさなり、生産者は資金の捻出に苦労をした。そのため生産者は、法令に従うとする念書を銀行の要請で書かされたという。 
 生産者が営農資金を必要とするのは、整地と土壌改良の時期。整地作業の時期はすでに終わり、暫定令という援軍は遅れて到着したと生産者は政府の緩慢ぶりを批判した。大豆生産者は、法令の罰金や禁止令などを怖がっていたら仕事ができないと抗議している。