10月19日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】外資導入と国家プロジェクト促進を至上課題にプラナウト宮から嘱託依頼を受けたヴァウテル・コベル氏は十七日、環境省を始めとする政府機関の緩慢業務により、百六十億ドルに上る外国資本が足止めされていることを明らかにした。同氏はサンパウロ州工連(FIESP)から政府へ派遣され、中国の積極的な外資導入政策についても現地視察をした。ブラジルの不具合な手続き制度や法整備の欠陥などを、中国と比較研究をした。
百六十億ドルが対伯投資で待機しているのに、政府機関の緩慢対応で足止めされている。海外投資のガンは、環境省の許可証と投資安全保障法の審議遅れという。産業界と大統領府の間を取り持つ特務機関として三カ月前、同氏の居室がジルセウ官房長官室の隣に設置された。
同氏は、食糧メジャーのブンゲ取締役兼FIESP理事の重職から抜擢された。これまで三カ月間、中国に滞在し当国の発展メカニズムの研究に没頭した。中国では大胆な特典や免税で、外国資本を誘致している。一方ブラジルは外資を阻む法律や制限規制などが厳然と存在するので、直ちに廃止するよう提案した。
また中国政府は外貨準備高を五千億ドルも有し、ブラジルなどへの海外投資で過熱経済を冷ます計画だ。その一つがマラニョン州に二十億ドルを投資し、ヴァーレと合弁で製鉄所を建設する計画。また鉄鋼と大豆の専用運搬船の建造とイタキ港の拡張計画。ブラジルのインフラ整備にも投資し、見返りに鉄鋼石と大豆で相殺する計画もある。
数々の大プロジェクトが発車OKで待機しているが、全て環境問題でストップだ。プロジェクトをまとめるために関係者の多大な努力があったが、無理解な省庁のために投資資金を水泡に帰する可能性は大きい。外資導入戦争の真っ最中に環境院(IBAMA)は、ストをしている。同氏在任の三カ月間に、手続きは全く停止していると同氏は役所仕事を非難した。
アラビア諸国政府は、原油精製の可能性を打診してきた。同氏は精油所増設のため、投資家を募った。精製した燃油の消費市場として、ブラジルは未熟だと投資家はみている。ブラジルの人口は多いが富の分配が不均衡なため、消費者とはいえない社会疎外者が多すぎると指摘した。
ブラジルへの投資を嫌悪するのは、ライフ・ライン投資利回りの不透明性も挙げる。インフラ整備の要になる官民共同出資法(PPPs)と公共サービスの調整基準などは、いまだ結論が出ず投資家や関連企業をイラ出たせている。
電気のように現政権がすでに調整基準を設定した部門でも、投資家は踏み切りをためらっている。新基準を政府は、どのように適用するのかを確かめてから投資すると疑心暗鬼だ。
調査会社が投資有望国としてブラジルのランクを下げたことで、国家輸出振興庁(APEX)も動き出した。PPPsに依存しないプロジェクトを具体化することで、APEXは外資導入に向けて腰を上げた。