10月20日(水)
【ヴェージャ誌】ブラジルの鉄鋼メーカー、ジェルダウ・グループは米国の鉄鋼メーカー四社を買収し、本国よりも米国本土のほうが大世帯となった。ジェルダウの海外戦略は、アルゼンチンの圧延メーカー買収とまだまだ続く。
FTAA(米州自由貿易圏)を照準に入れて、同社は国内に十億ドルを設備投資し、二百二十万トンの鋼鉄増産計画がある。伯米FTAA交渉が、米国の保護主義とブラジルの対外イデオロギー戦略で低迷するのとは対照的に、ジェルダウの動きは積極的だ。
ジェルダウの急成長は、鉄鋼業界では注目の的。十年前の鉄鋼生産量、世界ランク六十一位から十六位に躍り出た。ブラジルでは、ウジミナスとアルセロールに続いて第三位にある。鉄鋼業界は十年間に、年産一億トン以上の大手十社に再編されるうわさだ。ジェルダウ・グループは、再編によって呑み込まれるのを恐れた布石のようだ。
八〇年代の不況時代、同社は国内市場で頭打ちし資金繰りにも窮した。残された道、海外は保護主義で進路を閉ざされた。そこで選んだのが、外国企業の買収。民間では、海外進出に最も力を入れた企業となった。同社はブラジル鉄鋼に課した米政府の輸入制限策を旨くかわしたようだ。
同社は米国で生産し、多くの勉強をした。ブラジルの金融コストがチリーの五倍、税金はカナダの十倍というデータに同社は驚いた。税務部門は米国の三人の労力に対し、ブラジルは八十九人。同社は各業務を世界分業に移した。それで資金繰りが円滑になった。
ブラジルの判例は、米国やカナダでは通用しないものだ。生産性は、米国が劣る。ブラジル人に対する米労働者の偏見はなく、労組とはうまく行っている。同社は創業以来百三年が経過、四世代にわたって世代の交替が行われ、ブラジルでは珍しいケースとされる。