10月22日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】中央銀行の通貨審議会(COPOM)は二十日、基本金利(SELIC)を〇・五%引き上げ、年利一六・七五%とすることに決定した。
〇五年のインフレ到来に備えて九月の審議会で決めた金利暫時引き上げの一環であると、中銀は説明した。インフレは過去三カ月、定着していたが原油高騰を原因とするコスト高インフレに備えた措置であるとされる。関係者は〇・二五%と予測し、予想外の引き上げに驚いている。
COPOMは満場一致で引き上げを決めたが、経緯や背景の説明はしなかった。金融市場は〇・二五%と〇・五%の間で迷っていたが、中銀の果敢な措置に即時反応した。〇五年度インフレは公式目標では五・一%だが、経済環境を踏まえて五・八%とみられている。
金融機関は今回の基本金利引き上げを、中銀の基盤強化と経済の安定を優先したとみている。中銀は原油高騰が投機的なものではなく、複雑な要因が絡んでいると踏んだようだ。九月の審議会後に、ロンドンの原油相場は一八・四%上げた。ペトロブラスも同時期、二・四%の調整を行った。
基本金利が引き上げられると、消費市場にもブレーキがかかる。今回の引き上げで消費者ローンも月利一・〇八%引き上げられ、年利で一四三・二八%と予測される。景気の回復に伴う需要増加のインフレは、まだ起きていないと関係者はいう。中銀も都市銀行も、それは起きて欲しくないと希望している。
基本金利の引き上げに反対したルーラ大統領は、本題に触れず経済成長の継続を強調した。政権の政策当事者は失敗を許されないので、慎重に慎重を期した措置と評した。至らざるために批判されても、挽回のチャンスは残されている。失政で大恥をかいて失脚するより「及ばざるは、過ぎたるに優る」と述べた。
フルラン産業開発相は企業家らに、寝ても覚めても金利金利を止めるよう訴えた。政府には金利を軽減するメカニズムがあり、銀行のスプレッド(金利差)取引を縮小する考えだと理解を求めた。銀行に課している強制預託金を低減すれば、スプレッド取引も低減すると同相はみている。
産業界は基本金利よりも、税率の引き下げに関心を寄せるべきという。現行税制は零細小企業に、より負担となる仕組みだと訴えた。基本金利によるインフレ抑制は、中銀の暫定的措置であると述べた。
同相の観測では〇四年は経済原則を上回る金利高であったが、〇四年十二月のSELICを一三%と設定しているので、五年は妥当な水準へ引き下げられるとみている。金利高には民間投資を奨励しカントリー・リスクを下げ、中銀の機能を強化する側面などインフレ抑制の他に相乗効果があることを指摘した。
しかし、砂糖と塩の加減が料理を生かすし、殺すこともあると同相は説明した。基本金利が、経済に対し生殺与奪の剣を持っている。シンバルとフルートを程よく調和させるオーケストラの指揮者でもあるとした。