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移民のふるさと巡り~赤道の4都市へ(16)=釣ったり食べたり=魚の宝庫遊覧しながら

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10月26日(火)

 「そんなはずないんですけどね…」というガイドの高橋雄一さんは、空を見上げながら不安げに首を傾げた。今は一番暑い季節、雨が降らないはずの乾季なのに、頭上には曇り空が広がっている。
 九月二十一日、七日目、朝八時からふるさと巡り一行九十一人は、二隻の二階建てボート(それぞれ百人乗り)に分乗してアマゾン川クルーズに出た。最初の目的地は下流へ二時間、ネグロ川とソリモンエス川の合流点だ。
 マナウスは支流ネグロ川沿いの都市。支流といってもこの辺で川幅八キロ、水深は四十メートルもある。全長千五百五十一キロで日本最長の信濃川の四倍だ。
 徐々に風が強くなり、湖のようだった川面にさざなみがたち、波頭が白くなり始めた。朝八時過ぎなのに、まるで夕方のように暗くなり、舳先のしぶきが後ろまで届く。
 曇天と川面をつなぐ〃水の壁〃のような雨がみるみる近づき、船は飲み込まれた。乾季中に溜まりに溜まった水分が一気に吐き出されたような強烈なスコール。温度が一気に下がり、雷がとどろく。不安定な船上では、よけいに自然の脅威を肌に感じる。
 小一時間、雨に翻弄されたが、その後はきれいに晴れ上がる。午前十時、合流点に到達。色の違う川同士が何キロにもわたって混ざらずに流れる、壮大な風景を見物する。
 船上なので、否応なく吹きさらしだ。体温を奪う風に「寒い」と参加者の中から声が上がるが、「自然の雄大さが感じられるスコールだった。珍しい経験させてもらった」との感想も。
  ◎    ◎
 「梅干し、どうぞ!」と言われたのが、サンパウロ市内なら珍しくもないが、アマゾン川の水上レストランでピラルク三昧(スープ、焼き魚、カツ)をしている時だったので、ちょっとビックリした。
 八日間、北伯料理を堪能したが、自家製減塩「梅干し」の詰まった容器が回ってきた時は、やはりホッとした。「こっちは油っぽいからね」と、そのご婦人は何気ない。
 この辺の水路にはあちこちに観光客用の同様のレストランや民家が浮かぶ。アサクーという直径一メートルはある丸太を並べて大きな筏を作り、その上に家を建てている。このアサクーは特殊な木で、水に浸かっていれば何十年でも腐らないという。
 ガイドの高橋さんによれば、アマゾン川には二千種の魚類がいるが、うち千二百種はナマズ類だそう。郷土料理に使われる代表格は白身の古代魚ピラルクだが、地元で〃淡水マグロ〃と言われるタンバキーもお薦めだそう。「新鮮な時はトロのような食感がある」とか。トゥクナレーもよく供されるが、アマゾネンセにとって最も身近な魚はジャラキーだ。「安くて美味しいがレストランでは食べれない庶民の味です」。
 その他、猛魚の話題も。ピラニアよりも地元で怖がられているのは〃肉食どじょう〃と言われ、動物の穴から侵入して体内を食い荒らすカンジルーだ。
 午後一時前、十四隻の七人乗りボートに分乗し、ピラニア釣りに。川岸にはイガンボー(増水木に水没する低木の森)が広がる、幅二十メートルぐらいの支流を三十分ほど進む。ラルゴ・ド・イランデューバで二時間ほど、のんびりと釣り糸を垂れた。各ボート平均四十匹の釣果というから、合わせて五百六十匹。帰りに揚げて提供され、みな貪るように食べた。
 「ほんと楽しかった。旦那はさんざ釣りしてるけど、私はやったことなかったわ」などと、ご婦人方はご満悦の様子。
 午後七時半からホテルの大サロンで、パリンチンスで毎年行われている有名な郷土の祭りボイ・ブンバのショーを鑑賞しながら夕食。カプリッショーゾとガランチードに分かれて応援合戦するなど、躍動的なアマゾン情緒を楽しんだ。
 グアタパラ在住の上原サカエさん(74、長野県)は「この踊りが、今回の旅行で一番のお気に入りです。初めて見ましたが、衣装も、振り付けもすごくいい」と感想を語った。
 つづく(深沢正雪記者)

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