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コラム 樹海

 さきの老ク連のカラオケ大会は、正しくいえばカラオケ演歌大会だった。出演者の九分九厘が演歌を歌っていたからである。熟・高年の人たちによく似合う。今をときめく氷川きよしの高い音の歌と、昭和初期の唄を続けて聴いても、さほど違和感を覚えない▼それにしても、歩行の際、少し前かがみの人が、歌い出すと、しゃきっとするのは、つくづく歌の効用だと思った。上げた額(ひたい)を前上方からライトが照らすと、二十歳くらい若返ってしまう。舞台に上がる人たちは、案外このことを互いに知っているのかもしれない▼スリットがはいったスカートを着用した女性は、マイクを携えて舞台中央に進むときは、できるだけ腰を伸ばしたいものだ。前かがみだと、せっかくの「なまめかしさ」が半減してしまう。惜しい▼出場者を女性、男性別にみると、女性が七割くらい占めていようか。老人クラブ活動への参加者をそのまま映し出した比率なのだろう。男性は隅のほうに小さく、かといえばそうでもない▼EXTRAクラスに出て来る男性高年者たちはきちっと決まったダークスーツ姿。かつて、サンジョアン通りの映画館がネクタイ着用者しか入場させなかったが、当時の客を思い起こさせるほどのダンディぶりである。それが「演歌」と奇妙に合うのだ▼歌う本人もあれほどのおしゃれをすれば、適度に緊張感を持つことになるだろう。カラオケ、大いに歌うべし、舞台に立って、人の目を大いに気にすべし、である。(神)

04/10/29