10月30日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】原油高騰への対処が遅いために、金利の引き上げを余儀なくされていると、中央銀行が批判したことでペトロブラス石油公団は二十八日、公団に対する内政干渉であり、中銀に燃油価格設定の権限はないと反発した。中銀は原油高騰によるインフレ圧力を制御しないと、通貨審議会(COPOM)の抑制手段には限界があるとした。石油公団首脳部は年初からCOPOMの対処が、不快であったと声明を発表した。
COPOM議事録は、原油の国際価格高騰に対するペトロブラス石油公団の対応は緩慢で、この手遅れが〇五年度のインフレ対策に影響を及ぼす可能性があると結んだ。一方、石油公団がガソリンの価格設定は公団の責任であり、金利政策は公団の関知することではないと反駁した。
手と足の喧嘩のような中銀批判に対するペトロブラス石油公団の声明発表は、少なからぬ波紋を巻き起こした。COPOMは〇四年一月、石油公団に対しガソリン価格の想定計画を作成するよう依頼した。依頼書は燃料価格が、インフレに及ぼすインパクトについて説明してあった。
二十八日公表の中銀議事録では、ガソリンの価格調整が〇四年に九・五%へ達するなら、調整が遅れる程通貨審議会の機能を損ない、〇五年の目標インフレ率の達成を困難にするという。
毎月の議事録は、燃料政策の不在を訴えた。石油公団は、中銀の意図を不快とし要請に応じなかった。
ペトロブラス公団の声明では、COPOMはその縄張りを越えたと訴えた。要請を無視することで、中銀は道化役者の一群であることを示唆したらしい。声明書はドゥットラ公団総裁も出席して作成された。
原油の国際市場は、非常に複雑で素人が割り切れるようなものではないという。石油公団は〇五年も同様見解を堅持するので、金利政策へ配慮の意向がないことを明らかにした。
中銀は石油公団の緩慢対応が、基本金利の引き上げへつながると述べた。原油高騰は一時的投機の予想を越えて、国際的な政情不安の深刻性を暗示しているとした。基本金利は二か月連続で引き上げたが、その効果はなかった。ガソリン価格政策の不透明性が、新たなインパクトを生み出すと中銀はみている。
さらに中銀首脳陣は、COPOMの機能低下を憂慮している。機能低下は、投資意欲の減退を呼ぶ。国際金融や産業界、消費者は、将来のインフレ再来の可能性で神経質になっている。消費者サイドは、生活費の価格設定でインフレ傾向を認めている。金融市場の投資家は、実質インフレ率を高率設定した。
中銀には原油高騰によるインフレの他に、為替変動によるインフレ問題もある。国際的な資金需要で、ブラジルへの外資流入が懸念されている。外貨不足が引き起こす為替変動に、関係者の注目が集まっている。特に国内の経済活性化で、資金需要が高まっている。
ウオール・ストリートの米投資家は、十二月の基本金利(SELIC)を一七・五%に設定した。中銀はブラジル国内の景気を妨げない限界ギリギリまで、金利を引き上げるとみている。国際金融筋は国際商品の値上がりに、中銀はインフレをある程度容認するべきだとみている。