11月2日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十一日】南リオ・グランデ州の米農家が十九日と二十日、国境の三カ所の幹線道路を数時間に渡り封鎖していたことが明らかになった。行動に出たのは、同州南部の米を主要産品とする三十都市の生産者約五百人で、封鎖したのはアルゼンチンとウルグアイの国境都市であるサン・ボルジャ市、アセグァ市、ジャグアロン市の三カ所。農民らは幹線道路にトラックやトラクターでバリケードを張り、さらに大量の米俵を積み上げて、隣国から輸入米を輸送するトラックの通行を阻止した。さらに積み上げた米俵の中の米を付近の住民や、通行する車に無料配布した。参加した農民によると、国産の米は輸入米より良質だということを宣伝するためだという。
アルゼンチンとウルグアイからの輸入米は正式に輸入を許可されたもので、輸送を妨害するのは違法行為となる。しかし同州米生産者協会は、今回の国境封鎖は「予告編」で、十一月初めには、より大規模で長期的なものを計画しているという。それも政府の動向如何でいつでも引き金を引く用意があるという。
同協会によると、今年の米の収穫量は一千二百七十万トンで、昨年に続き内需を充分カバーできる状態にある。しかるに隣国からの今年の輸入量はすでに五十万トンに達している。かつ輸入米はメルコスル協定により無税となっているため、国産品より安く売られている。国産のコストが五十キロ俵で三十レアルに対し、輸入品価格は二十六レアルとのこと。同協会は、一率に国産品も無税にするか、あるいは輸入品の数量制限を要求している。
いっぽうで同協会は、アルゼンチンとウルグアイ向けに輸出されているトラクターや収穫機に逆に関税がかからないため、ブラジルの市価の半値となることで、隣国のコストは安くなり、二重の恩典にあやかっているのは不公平だと指摘している。
これに対し、農務省は早期の対応を迫られることになったが、メルコスル協定や国産保護対策などの外交問題と重なるため、事態の打開は難航しそうだ。