11月2日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】夏入りを十二月に控えた十一月は雨が多く、この時期にサンパウロ市各地は交通渋滞、土砂崩れ、家屋浸水に見舞われる。
同市東部アリカンドゥーヴァ区、南部イピランガ、カンポ・リンポ区の住民は、自家用車を高い場所に駐車したり、家具や家電製品を浸水の少ない近所の家に預かってもらったり、浸水への自己防衛策に追われる。アリカンドゥーヴァ区に五十年前から住むトーレスさん(78)は、七十年代半ばまで雨が浸水を引き起こすことはなく、水路の整備、道路の舗装化、低地の埋め立て後に浸水が頻発するようになったと話す。家を売って引っ越そうにも、浸水のない地区の半値にすらならないという。
浸水対策に取り組む市当局は、過去四年間に雨水を貯めるプールを七つ増設、貯水能力を十五億から四十五億リットルに高めた。二〇〇一年夏に百九十一カ所に上った浸水地点は、〇四年夏に五十五カ所に減少している。しかし、専門家らによると、この種のプールは四十カ所必要で、建設には多額の資金が求められている。また、浸水の根本的解決策はサンパウロ市の住居区画の仕切り直ししかなく、対症療法には限界があるいう。路上に投げ捨てられ、排水溝に詰まるゴミも浸水の大きな原因となっており、「清掃しても三日しかもたない」と市当局は市民の協力を呼びかけている。