三十日、強い日差しに誘惑され、プライア行きのバスに乗った。夕焼けの映る海岸に着くと、ゴザを買って浜辺に広げた。そこに用意しておいた書道道具を並べ、「あなたの名前漢字で書きます」と書いた広告を出した。習字で生活していけるか実験だ。しかし、この日は海を眺めるだけで終わった。なかなか厳しいようだ。
次の日は朝から海に出た。人込みを探し、パラソルの下に拠点をつくる。陽気な天気に厳しさを忘れ、眠り込んでいたら、モレーナが声をかけてくる。こんな調子でこの日は、結局三枚売れた。一枚、一レアルだから三レアルの儲け。でも、すぐにビールに変わった。
海岸では、縫いぐるみを被ってピーナッツを売り歩くという、まさに〃汗のにじむ〃努力をしている人もいた。「世の中厳しい」、そう思ったが、真っ青な空が全てごまかしてくれた。
(達)
04/11/2