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思わぬ雨でサンパウロ市マヒ状態=市内各所で浸水=着工遅れる排水槽工事=渋滞は観測史上最高に

11月6日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】サンパウロ市は四日早朝、思わぬ夏時雨の襲来で機能がマヒし、ラテン・アメリカ最大の都市でありながら、水には手も足も出せぬという弱体ぶりを見せつけた。排水事業は歴代市長の課題となっているが、工事は遅々として進んでいないのが現状。次期市長となるセーラ氏も選挙キャンペーンで重要案件として取り上げており、これから雨期に向かうことから、就任早々対応が迫られることになる。通常夏の雨は午後にかけてのいわゆる夕立だが、四日は早朝から降り続き、市内四十八カ所で出水騒ぎとなり、十六カ所が通行止めで大混乱を招いた。渋滞は百九十一キロに上り観測史上最高を記録した。

 雨は午前五時から七時までの間に間断なく降り続き、特に都心部では午前五時半から十一時までに四十五ミリの雨量が観測された。これまで十一月の平均雨量が百四十五・八ミリであることから、この時間帯だけで一カ月分の三分の一の雨量に達したことになる。西部地区では三十三・五ミリだった。
 このため市内各所で浸水となり、とくに交通の要所であるアニャンガバウー広場のトンネルは浸水が五十センチの水かさとなり、午前六時四十二分に閉鎖された。それでも数台の車が立ち往生して水に流された。同じく都心部でパッサ・ラッピドと呼ばれるバスの専用車線が完工したばかりのノーヴェ・デ・ジューリョ大通りでは、路面のアスファルトがはがれて通行不能となり、さらにカトルゼ・ビス広場が水浸しとなり通行止めとなった。このため都心部の商店は浸水のためシャッターを上げることが出来ず閉店となった。ヴィンテ・イ・シンコ・デ・マルソ通りの商店街では排水溝が詰まって排水口から水が逆流する有様で、従業員はたまったゴミを取り除くのに余念がなかった。
 市の都市整備課によると、アニャンガバウー広場に隣接するバンデイランテス広場と前出のカトルゼ・ビス広場にピッシノン(巨大プール)と呼ばれる排水槽の工事費用として、それぞれ八百九十万レアルおよび九百三十万レアルの予算を確保しているが、何故か着工が遅れているという。
 また、次期市長のセーラ氏もアリカンドゥーヴァ、イピランガ、オラトーリオ、モッカ、モイーニョ・ヴェーリョの五カ所にピッシノン設置を公約に挙げている。またピッシノン設置に限らず、排水溝にたまるゴミの清掃も肝要だとの認識を示している。
 次期市政を担うPSDB(ブラジル社会民主党)の議員は、現政権の対応の遅れを怠慢だとする声明を発表したが、市当局は今年九月までに下水道や排水工事に千二百四十万レアルを費やして被害の三〇%を解消していると反論している。