11月9日(火)
「来年から、百周年の本格的な準備作業に入ります」と、パラナ文化運動連盟(リーガ)理事長の西森ルイス弘志さんは語る。「サンパウロの百周年には全面協力します。ただし、資金面での協力や、人を動員してほしいという要請には応えかねますが」。一九九八年、移民九十周年にはローランジャのパラナ移民センターに三万五千人を動員した。「百周年には五万人を絶対に集めたい」と西森さんは意気込む。
来年一月、パラナ日伯文化連合会(アリアンサ、上口誠一会長)とリーガそれぞれで合併を図る総会を行い、大同団結を予定。その後、統一団体が主体となって、二月ごろからパラナ州の百周年祭実行委員会を立ち上げ、本格的な準備活動を開始する。百周年を機に日系団体を統合し、一丸となって臨む。
記念事業案としては、日系高齢者向け保養地として「パラナ移民の里」を中心とした日本文化のテーマパークをローランジャに作る案や、ロンドリーナの州立職業訓練学校を大学にして、日本文化や日本語を教えるコースを設置する案もある。
「私の考えですが、一番残したいのは日本人や日系人としての精神や生き方。百周年を機に、そういうものを永遠に残せる仕組みを作っていければ日系社会はなくならない。何か物や建物を作って残すより、四、五世のために精神的に役立つ道を築くのが我々の使命だと思う。いずれブラジル社会に統合しながら、日本文化から日系文化になっていくでしょう」
三年前にリーガの中に発足させた青年部は、現在ではシンポジウムを開催して八百人を集めるようになった。年に二、三回は自主的に、貧困地区での保健衛生啓蒙活動をしており、毎回八十~百人のボランティアの若者が集まる。「彼らも日系としての認識を徐々に深めている」。そんな彼らが、パラナ百周年の中核を担うことになりそうだ。
まだ、二〇〇八年六月の何日に式典を行うか未定だが、ローランジャのパラナ移民センターで行うことは間違いないという。すでに百周年記念碑の場所も確保されている。
西森さんは「百周年はブラジルや世界に日系社会の存在をアピールする絶好の機会。サンパウロや他とも同調しながら、日本文化の精神的なものを残すことを目指したい」と強い期待を込めて語った。