11月11日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】国内の工業界はかってない程の好況の様相を呈し、業界では景気の完全回復宣言も可能とみられている。設備稼動率稼動率は六月からフル稼動状態の八三%台を維持しており、レアル・プランが施行された九五年の爆発的好況をも上回っている。これに伴って雇用も安定し、過去一年間で新規採用者は八%増加した。個人所得も一一%増えた。基本金利(SELIC)が引き上げられたことで需要のかげりが懸念されたが、今までのところ影響は出ていない。いっぽうで一部の経済専門家らはGDP(国民総生産)成長率が政府が上方修正した成長率四・四五%よりも高い五%になるとの見通しを示している。
全国工業連盟(CNI)によると、九月の新規採用は前月比〇・七八%増え、過去十二ヵ月間で累計八%の上昇となった。昨年九月比では五・〇一%増、今年九月までの累計では二・四一%増となった。雇用の上昇は一九九二年以降、過去最高水準となり、当然ながらレアル・プランにより好景気となった一九九五年の雇用増をはるかに上回るに至った。また十月以降は年未商戦で需要が増えることから、雇用はさらに増加傾向にあると予測されている。
これに伴い従業員の個人所得も増加した。九月の給料は前月比一・〇四%とわずかの昇給だったが、今年の累計では八・四八%となり、昨年九月に比べ一一・〇九%の増加となった。昇給は過去十八ヵ月間ほとんど行われなかった。同連盟によると、新規採用があると、既存の従業員も昇給するのが常だという。
いっぽうで、九月の売上げは八月に比べ一・二七%の減少となった。しかし昨年九月比では一五・六三%増で、今年累計では十六・八七%増となった。労働時間も前月比〇・〇二%減だったが、昨年九月比で七・三三%増、本年累計で五・四三%増だった。
設備稼動率は八月の八三・二%から〇・二ポイント下げて八三%となった。七月が八三・二%と最高水準だったことから、今年第3・四半期は昨年同期比一・〇八%増加した。設備稼動率の低下について連盟では、六月からの爆発的需要の伸びで、ある程度供給が安定したための小休止とし、これから年未に向けてまた上昇に向かうと予測している。
これらの数字を踏まえて、リオ連邦大学の経済専門家は九月までのGDP成長率を四・八%と見込んでいたが、年未まで五・〇一%になるとの見方を強めている。政府の修正予測は四・五八%となっている。
いっぽうで中銀の金利政策については、現在まで工業界に影響はないが、来年第1・四半期に何らかのインパクトがあるのではと見られている。さらに設備投資を計画している企業には足かせをはめる形になるだろうとの見解を示している。