イラクには「スンニ派三角地帯」と呼ばれる地域がある。首都バクダットから北方と西方へ約一五〇キロの地点を結んだ三角形の地域でサダム・フセインが栄華を誇った土地である。このためなのか「三角地帯」には今もなお反米派と暫定政権に反発する勢力が根強く頑張っている。今、米軍の海兵隊が総攻撃しているファルージャは、この「三角地帯」の要衝なのである▼首都から西方に50キロのファルージャには、フセイン政権の残党やヨルダン人テロリスト・ザルカウィ一派が屯し外国人を人質にしたり警察官殺害などのテロ行為で暴れ回っている。言わば反政府勢力が集まり政治不安や社会に騒擾を引き起こすことにのみ終始している―そんな場所なのである。暫定政権が非常事態を宣言してまで米軍と力を合わせ、これら武装集団の掃討作戦に取り組んでいるのは、来年1月に予定される国民議会選挙を成功させるためにほかならない▼この強硬作戦には賛否両論があるし、日本でも産経新聞は支持の論説を掲げているし、毎日は慎重論を展開している。米国防長官は「テロ掃討まで断固と戦う」と語っているけれども、これに従う人々が多いと思う。彼ら武装勢力がこれまで行ってきた外国人の拉致事件に始まり、要求が拒否されれば立ち所に斬首の刑は、香田証生君の例を見るまでもない▼警察署への自爆テロや政府施設への攻撃もいっぱいあるし、このまま放置しておけば、彼らテロ集団の思う壷である。ここは武力での解決も致し方がないしやむを得ない。 (遯)
04/11/11