11月12日(金)
サンパウロ市よりヅットラ街道沿いに約八十キロ、ジャカレイ市のコチア農業学校で、南米諸国からの研修生たちが育てているネット・メロンが順調に果実を太らせており、予定どおり、十二月五日(日)「第三回メロン祭り」が同校で開催される。去る七日、小旅行(本紙五日の「樹海」参照)の参加者たちが学校で生育状況を確認した。友人たちを誘って参加した、サンパウロ市東洋街の一角で理髪店を経営している木村光子さん(熊本県出身)は「メロンが育っているのをじかに見るのは初めてだったので嬉しかった。一本に一個だけ、というのも初めて知った。このような小旅行には何度も参加したい」と満足げだった。
ジャカレイ地域では去る五日、六日の二日間で一〇四ミリの降雨があった。コチア農学校の観測記録によると、十一月の平均降雨量が一四五ミリであり、二日間で百ミリ以上は〃豪雨〃に匹敵する。
この湿りに助けられて、七日朝は澄みきった空気が学校周辺を囲んでいた。「きょうはきれいな空気を吸いながら、研修生の皆さんと交流をすることができて、本当に楽しい思い出となった」と述懐したのは、国際交流基金に勤務している岡野道子さんと高倉・サンドラ・美奈さんの親友同士だ。
研修生の気持を代弁したのはボリビアのスルマ・ロベスさんとパラグァイのシロウ・カキギ君(ラパス移住地生まれの二世)だ。「私たちがここに来ているのは技術を習得するだけでなく、視野を広げることと、私たちの国を多くの人々に知っていただくことです。きょうのような機会がもっと多くあると嬉しい」。研修生たちの気持に応えるかのように、コチア農業学校を初めて訪問したという蛸井喜作さん(山形県、コチア青年・第一次九回・一九五七年渡伯)は「ここは最高ですよ。ここでの一年間は沢山の英知を彼らにもたらすでしょう。願わくば、研修生の数をもっと増やして欲しいですよ」と期待を膨らませていた。
このプロジェクトは、オイスカ・ブラジル総局(高木ラウル会長)が米州開発銀行の協力を得て実施しているもので、現在は五期と六期生を合わせ、ボリビア、ペルー、パラグァイ、ブラジルの若者たち四十四名が寮生活を通して、異文化理解を深めながら、実技研修に励んでいる。
栽培されているネットメロンは、日本種二種(ロックスターとボーナス二号)と、パラグァイのイグアスー移住地にあるJICA総合農事試験場で育種に成功したルーナ・イグアスの三種だ。
研修生たちを指導している菅原エドワルド教官(二世、ラブラス国立農大卒)は「ここまで来たら、十二月五日のメロン祭りに合わせた収穫は間違いありません」と太鼓判を押している。
小旅行参加者たちは、研修生たちが育てたトマトやエンゲン(フェジョン・バージン・マカホン)や葉野菜などを自分で収穫して、両手いっぱいに帰途についた。