11月17日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十五日】政府は国内での麻薬使用を容認する方針を固め、近く大統領令でその詳細を公布することを明らかにした。政府筋によると、このプランは約二年前から構想が練られ、発想を転換したものだという。
これまでの麻薬対策は、麻薬密輸や製造および販売組織の摘発に重点を置いた「麻薬撲滅政策」だった。これを百八十度方向転換し、麻薬使用を容認した上で、禁断症状を起こさない程度の麻薬を患者に与えながら、量を減らし、最後は使用を止めさせようというもの。これにより、麻薬の市場を失くすのが狙い。これまでの撲滅政策が取り締りの「川上作戦」だったのが、今度は市場をなくし麻薬を閉め出す「川下作戦」となる。従って麻薬対策はこれまでの連邦警察から保健省へ管轄が移る。
同プランによると、麻薬を使用できる公立および私立の施設を設立して、医師なりカウンセラーの立会いのもと、患者の症状によって使用量を決め、徐々に減量していくという。麻薬常習者はアルコール依存者と似て精神的に不安定な人が多いため、精神科医や心理科医によって治療が可能だとしている。また、この施設では薬を無料で与えるため、患者が麻薬代金欲しさに犯罪に走る必要がなく、治安にも貢献できるとの認識を示している。
国内にはアルコールや麻薬依存の相談を受けるNGO(非政府活動団体)のボランティア施設が八十カ所あるが、薬物は法律の壁があって使用を制限されている。新プランは医師や保健省職員を配置して、これらの施設をより活性化するとともに、来年は二百五十カ所を新設する予定。さらに全国に六カ所のフォーラムを常設し、保健省、法務省、人権よう護団体、麻薬取り締り局の担当者を軸として、麻薬キャンペーンや学校教育を通じて市場から麻薬を追放する活動を行うことを取り決めている。