11月18日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】サンパウロ市マージナル・ピニェイロス河岸道路で十六日午前一時ごろ、三十五台の自家用車がタイヤのパンクや車体の破損を起こす事故が発生し、事故現場は大混乱に陥った。原因は車道に空いた穴だった。
穴は長さ一・五メートル、幅五十センチ、深さ三十センチで、その上を通過した車両は一様に前後タイヤがパンクしたり、ホイールがへこんだり、車体の底を破損しマフラーがちぎれるなどの被害を被った。幸い車同士の接触や衝突に至らなかったため、けが人はなかった。
予備のタイヤが一つしかないため、事故に遭った車はレッカー車が来るのを待たねばならず、現場は混乱した。運転者らは後続の車を徐行させたり、棒切れやプラスチックを重ねたりして穴の存在を知らせた。駈けつけた市交通局員が二車線を通行止めとし、穴を土でふさいだが、折からの雨ですぐ流されてしまった。係員によると、前日から降り続いた雨で、アスファルトが壊れて流され、空いた穴だという。
被害にあった車の所有者らは連名で市に損害賠償を要求するため、雨中にもかかわらず集会を開いて相談をした。その中の一人は、一本のタイヤが二百五十レアル、ホイールを元に直すのに八十レアルかかると試算していた。さらに深夜で雨中だったために通行量が少なかったことが幸いしたが、さもなくば大惨事になっていたと振り返る。また同乗の女性は何かと衝突したような物音と衝撃だったと語った。
これに対し弁護士協会交通課では、この種の事故は市の責任であり賠償金は貰えるとし、できれば現場や損傷個所の写真と修理工場の明細書を提出し裁判所に訴えるとよいとしている。また民事特別課によると短期間に判決が出るとのこと。道路交通法によると、車道の整備は市の責任であり、これで生じた損害は市が補償することになっているという。ただしガス、電気、水道などの工事で生じた穴は市に責任がなく工事当事者が責任を負うとしている。
十五日から十六日にかけて降り続いた雨で、サンパウロ市内は渋滞に陥り、三十七カ所で出水騒ぎ、八カ所で通行止めとなった。幹線道路のマージナル・チエテ河岸道路、ヴィンテ・エ・トレース・デ・マイオ、パウリスタ大通りも水浸しとなり混乱した。