12月1日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】メイレーレス中銀総裁は二十九日、従来のようにIMF(国際通貨基金)の融資には頼らず、ブラジルは経済的に自立できるようになったとの見解を示した。これにより、来年二月に期限が切れる融資契約は延長の是非が見直されることになる。またGDP(国内総生産)の今年の成長は驚異的なものだとし、その要因として輸出の好調を指摘した。また、貿易黒字は年末で三百二十億ドルの政府目標が達成できると同時に、対外債務用の準備金も調達済みであることを明らかにした。
メイレーレス中銀総裁は二十九日、FGV(ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団)が主催した「ブラジルのカントリーリスクの再評価」のセミナーの演説の中で、ブラジルの今年の驚異的経済成長に伴い、IMF(国際通貨基金)の援助に頼らず、自分の二本の足でしっかり立った自立経済が実現できるようになってきたことを強調した。
そのため来年二月に期限が切れるIMFの融資契約の再延長は必要ないだろうとの見解を示した。ただし再延長についてはさらに時間をかけて検討していくとの考えを明らかにした。これにより、これまで金融、経済政策に関してIMFの干渉を受けてきたが、ブラジル独自の政策でさらなる経済成長が期待できるとの見方を強調した。
同総裁はこの背景として、これまでの努力が功を奏して輸出の基盤が確立したのが一番の要因で、外貨獲得で経済成長に拍車がかかったとした。経常収支の黒字によりブラジルの対外債務の準備金が整い、このためカントリーリスクが低下した。貿易収支は本年目標である三百二十億ドルの黒字を達成できる目途が立ったとし、これにより外資準備金二百四十四億ドルを政府が手当て済みであることを明らかにした。一九九五年から二〇〇三年まではGDP(国内総生産)成長が止まっていたため、対外債務のGDPに占める割合が高く、これが経済成長の足かせとなってきたが、本年は事態が好転した。
同総裁によると、年初からGDP予想成長率は上方修正を繰り返してきたが、九月に設定された四・六%は最低ラインだと強調した。これに対し金融アナリストは、第3・四半期は通常、中だるみを示して成長が停滞するが、今年は順調に推移したことと、年末商戦を控えて第4・四半期にさらに拍車がかかることを加味すると、本年のGDP成長は五%の大台に乗るとの見方を強めている。
さらに同総裁は、中銀が課題としているインフレ対策については、SELIC(基本金利)も含む金融政策は当を得ており、政府目標のインフレ指数は維持できるとしている。またドル安はアメリカの経常収支バランスの悪化による世界的傾向として、一部では輸出への影響が危惧されているが、ブラジルの輸出は基盤がしっかりしており、信用の上に立っているので心配ないとの考えを強調した。