12月2日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二月一日】ブラジル地理統計院(IBGE)は三十日、二〇〇四年第3・四半期のGDP(国内総生産)が前期比で一%増、昨年同期比で六・一%も増加したと発表した。これは五期連続の増加で、八年来のものとされ、経済スタッフを始めとする政府関係者は意を強くした。設備投資も昨年同期比で二〇・一%増と順調に伸展し、健全な経済成長だと市場関係者もみている。消費も前期比で一・四%増加し、〇四年のGDPは五%に達するという予測だ。
〇四年一月から九月までの累積GDPは、五・三%となっている。第3・四半期のGDPのけん引役となったのは、一一・六%の成長振りをみせた建設業などで、国内産業の活況が消費の伸びに影響したようだ。輸入も輸出の伸びを凌駕し、景気回復の程を呈した。
国内産業のうち活気あふれる業種は引き続き伸展を続け、小康状態に入る様子はない。同業種は第2・四半期が前期比一・五%増であったが、第3・四半期は二・八%増と加速している。
一方、農畜産部門は昨年同期比で三・六%落ち込んだ。工業の需要増に比し、農産物は需要が横ばい。消費が伸びたのは、第3・四半期に給与が昨年同期比で平均五・三%増えたためとみられる。
パロッシ財務相は記者団に対し、IBGE発表は経済成長が長期にわたる確かな手応えを感じさせるものであることを示していると述べた。緊縮財政と高金利政策を基本とした経済政策は、正解であったと強調した。手法は経済学の原則を忠実に守っただけで何ら奇策はないとした。インフレ抑制には他に妥当な方法があると批判されているが、財政政策では一歩も譲らないと言明した。
IBGEは三十日、PT政権の初年度であった〇三年のGDPマイナス〇・二%をプラス〇・五四%に上方修正した。しかし、給与所得者の台所は厳しかった。GDPに占める給与所得の割合は、〇一年の三七%から〇二年の三六・一%へ、さらに〇三年は三五・六%へと縮小した。
企業の粗利益は〇二年の四一・九%増から〇三年は四三%増へと伸びた。IBGEの統計では、企業利益は九九年から〇三年まで、為替の含み益により借り入れ金の利子が低下することで、徐々に増加していた。
経済開発協力機構(OECD)ブラジル支部は、ブラジル経済が持続可能な成長サイクルにあることを確認したと発表した。六カ月前のOECD報告書では、ブラジルの景気回復について疑心暗鬼の状態だった。今回の報告書では、景気回復は外貨準備高や健全財政など強固な経済基盤で裏打ちされ、信頼に足るものと評価された。債務不安は遠のき、外的要因にも耐え得る体力を備えたとみている。
世界経済の回復気運は、政府が構造改革の努力を継続するなら、ブラジル経済にとって追い風であり、国際金融の流れが有利に展開するとOECDはみている。懸念する要因は二つ、原油高騰とそれによる世界経済への影響だという。原油の高止まりが、ブラジルにとってインフレ要因にならないよう願うとした。