12月2日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】サンパウロ市連邦地裁は三十日、マルフ元サンパウロ市長の公金横領罪の起訴は受理するものの、連邦検察が請求した身柄拘束は認められないとして逮捕状の発行を拒否した。
これにより元市長は在宅のまま裁判所の出頭命令に応じて取り調べを受けることになる。これに対し検察側は不満を表明し、また容疑の性質から証拠隠滅の可能性があるとして、あくまでも身柄拘束を主張して連邦最高裁に上告する方針を固めた。
連邦検察庁はサンパウロ州検察庁との合同捜査の末、公金横領、財産隠匿、資金洗浄と呼ばれる不正資金操作、犯罪組織の結成などの容疑で二十五日に元市長を連邦地裁に起訴した。外国への不正送金は以前に起訴済みだが、合わせて審議される。これに伴い、不正送金と組織へ加担した容疑で、元市長の子供二人と娘夫婦の計四人も起訴された。
起訴内容によると、元市長は市長在任期間に収賄も含めて、公共工事に伴う公金四億四千六百万ドルを横領し、スイスの銀行に不正送金した疑い。スイスの検察庁の協力を得て、銀行証書のコピーなど証拠物件を検察は入手しているという。これら全ての罪が確定すると元市長は三十六年の実刑を受けるとみられる。
連邦地裁の判決では、法で定められた人権よう護の立場から、元市長および家族に逃亡の心配はなく、裁判所の出頭命令に応じると判断したため、身柄拘束を拒否したと言明している。これに伴い、元市長には来年三月十八日に一回目の取り調べのための出頭が言い渡された。家族らも同月内に順次取り調べを受ける。同地裁は国外逃亡を防止するため、全員のパスポートを連警に提出するよう命じた。
マルフ元市長は記者団に対して、外国に預金口座は持っていないと従来の主張を繰り返し、全ての容疑は事実無根で、無実を主張した。今回の判決については、「逃げも隠れもしない」とし、やましい点がないので何時いかなる所でも出頭すると断言した。また政界からの失脚を狙う政敵の陰謀に連警が踊らされているだけだと、いつもの「マルフ節」を高らかに披露した。