12月3日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】香港から中国へのブラジル産牛肉の密輸が後を絶たず、中国側は取り締まりに躍起になっているものの、成果が挙がらずに困惑しているのが実情だ。ブラジル産牛肉は香港向けとして輸出され、一旦は香港で水揚げされてから小さな漁港に運ばれて、そこから中国向けに密輸されている。
実態もつかめぬため実数も判明していないが、背後に牛肉や鶏肉の専門マフィアが暗躍していると見られている。二週間前に中国の胡錦鋳国家主席が来伯し、牛肉と鶏肉の輸入を解禁とする二国間協定の覚え書に署名したことにより、正式に取引が行われることから、密輸は自然解消されるだろうとの見方を関係者は一様に否定している。検疫や衛生問題で中国側は厳しい要求をするため早期に取引が始まることはないとみられるからだ。
香港からの中国向け密輸は歴史が古く、アメリカ産品で始められた。九〇年代は関税が四五%と高かったため、牛肉の八二%、鶏肉の八八%が密輸で、文字通り牛耳られていた。しかしその後、中国がWTO(世界貿易機関)に加盟、関税が二〇%に引き下げられたことで、市場価格が下がり密輸に妙味がなくなった。そのため高値のアメリカ産品に代わりブラジル産品が登場した。
中国の取り締まりに香港も協力しているが(イギリスの返還により香港政府が自治を行っているため、領海も分かれている)、中国の海岸線が長く、また密輸船も高速で高性能なものが使用されるため逮捕が難しいのが現状となっている。それまでは小型漁船が使われ、二〇〇二年には二十隻、〇三年には百二十二隻が検挙された。