12月4日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】連邦警察は二日、国家財政を監査する立場にある連邦会計検査院(TCU)の組織ぐるみの犯罪を摘発し、長官級要人四人とエウニシオ・オリベイラ通信相関係の会社コンフェデラル代表などを逮捕した。一味は入札で便宜を図り、汚職や違法カルテルの構築など職権乱用で不正蓄財を犯した。同件でブラジル民主運動党(PMDB)は、与党連立の要であった通信相の不正関与により信用が大きく損なわれた。連警による今回の摘発は、政界に大きな波紋を呼びそうだ。
連警の「歩哨作戦」は潜行捜査から突然、奇襲作戦に移行した。連警は間髪を入れず、通信相が別邸としていたコンフェデラル社にも手入れを行った。同社は、アンドラーデ駐ポルトガル大使の息女である通信相の妻が共営者として参画していた。
逮捕されたのはTCUのヴェーラ・P・ボルジェス入札局長を始め、アントニオ・トリンダーデ総務局長、フェルナンド・アウメイダ警備局長、レイラ・フェレイラ内部監査局長。さらに通信相の懐刀エニオ・ブラガンサ、ブラスフォルテ社代表親子、モンターナ社代表、ロマン社代表、シトラン労組代表、警備労組の理事長など。
摘発後、政府高官らの間で頻繁な電話のやり取りがあった。まず通信相がジルセウ官房長官に連警の行為を抗議した。直ちにバストス法相へ同抗議が取り次がれ、法相は午後の予定を中止した。法相は連立の生みの親であるサルネイ上院議長へ事情説明を行った。連警の行為は栄誉ある義務であって、個人的な奸計や謀略ではないとの声明を法相は発表した。
通信相は九八年以降、コンフェデラルの会社運営には一切無関係であると宣言した。同社の犯罪関与が立件されても、自分は潔白であると述べた。
与党労働者党(PT)のルイジーニョ下議は、捜査の命令系統が不明瞭なので、何者かの差し金だと連警を非難した。PMDBにとっては、十二日に党大会で与党との連立関係を継続するかどうか協議する微妙な段階にあった矢先の出来事だった。通信相は身辺整理のため、党大会の延期を願い出た。
しかし、連警非難は政府にとってやぶ蛇になりそうだ。PMDBには、元上院議長のジャデル・バルバーリョ下議の起訴問題もある。当件の背後にフォンテレス検事総長の暗躍があるとPMDBはみている。またサントス銀行への行政介入で、上院議長の銀行口座開示も噂に上がっている。
TCUのヴァウミール・カンペーロ総裁は、行政府と司法府の会計監査に追われ、足元に火が付いていたのを知らなかったと不手際を釈明した。総裁の腹心だった四人が逮捕されたのは、連邦機関八千の会計検査を行い目が隅々まで届かなかったからだという。四人は更迭され、一切の権限と信任を剥奪される。TCUの下請け会社は契約取り消しとなる。
コンフェデラル社は、TCU傘下の最大手で二十年以上の取引がある。同社は、TCUの警備と現金輸送を独占していた。通信相が無名の同社を買収し、TCUの下請けにコネで組み込んだ会社だ。