12月7日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】国内工業界は、本年に入ってから高度経済成長にともなう急激な需要増で生産のフル稼動が続いていることから、生産拡大に向けた設備投資の動きが活発化してきた。
この動きは本年中頃から表面化したものの、三度にわたるSELIC(基本金利)の引き上げや、景気回復が本物かどうか見極めるという、いわゆる静観の姿勢が大半を占めた。しかし例年は中だるみを示す第3・四半期が、今年はGDP(国内総生産)が昨年対比六・一%の増加となり、一九九五年に統計を取り始めて以来過去最高となった。このため業界では増設に向けてゴーサインが出始めた。
全国工業連盟(CNI)によると、生産機械によって異なるが、フル稼動しても定期修理や臨時的な部品の取り換えなどにより、生産能力は八二%から八四%が限度だという。さらにここ数年来、生産のオートメーション化など最新設備への切り換えはあったが、生産拡大に向けた投資はほとんど見られなかった。
同連盟が加盟企業一千二百二十四社を対象に調査したところ、四〇%が増設計画を表明した。とくに史上最高の稼動率で操業を続けている繊維、製鉄および加工部門、機器、医療機器および電気製品では約半数が拡張を計画している。
稼動率が八四%に達する繊維業界は、五三%の企業が生産拡大のための機械購入にゴーサインを出した。同業界はWTO(世界貿易機関)の取り決めにより、来年一月一日から各国の輸出割り当量が撤廃されて自由競争に入ることから、最新鋭機械による増産とコストダウンが課題となる。鉄鉱は八一%の稼動率で、五七%が増設を、七七%の稼働率の機械部門はこれまで輸出が主力だったが、増設ブーム到来で国内需要が増えるのを見込し、企業の四〇%が増設する意向を固めている。稼動率七四%の鉄加工部門は四六%が増設を計画中、医療機器は四一%(稼動率八二%)、電気製品は三四%(稼動率七八%)がそれぞれ増産体制に入る。
企業の間には、来年の景気は今年のような爆発的伸びは期待できず、逆に一時的冷え込みがくるかもしれないとの見方も一部にはある。しかし輸出は増加傾向にあり、増産しても吸収できる市場があると楽観視している。さらにドル安傾向については、ユーロや日本円へのインパクトの方が強く、世界市場では対抗できるとの見方を示している。