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MSTの農地占拠増加=ルーラ政権以降、紛争激化

12月7日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】ルーラ大統領は大統領選に過去四度出馬し、そのたびに当選の暁には農地改革に最優先に取り組むと強く訴えた。しかしルーラ政権発足後、農地占拠運動(MST)メンバーと農地主の双方にとって農地改革は幻想に過ぎなかったようだ。
 農地牧師委員会(CPT)の調査によると、ルーラ政権が発足した二〇〇三年の一年間に農地紛争で七十三人が死亡した。〇四年は十一月までに死者数は二十九人と減少したが、九〇年代や〇二年までのレベルとは比較にならないと、同委員会で統計を担当するカヌート氏は話す。
 全国農業問題聴聞局(農地改革省)の資料は、九九年の年間五百二件をピークに二〇〇二年には百三件まで減少し続けたMSTの占拠活動が、〇三年には二百二十二件、〇四年は十一月までに三百三件と増加に転じたことを明らかにしている。
 農地改革の対象となる農地を占拠した場合には撤収させるといった罰則を設けた、二年間を期限とする暫定令を二〇〇〇年にカルドーゾ大統領が発令して以来なりを潜めていた占拠活動をMSTは活発化させた。その一方で農地主らは、MSTやインジオに占拠された農地の所有権を最終的に定める法的措置が取られないために心理的に追い詰められ、暴力を使った自衛手段に訴えることになった。
 大統領がこの件について態度を変えない限り、農地紛争は悪化する一方だと農地生産者全国運動(MNP)のレアル代表はコメントした。人権特別局のミランダ長官は、利害の対立や紛争増加は民主政治の一部であり、問題なのは暴力事件で、それを防ぐには紛争地域の監視が必要とエスタード紙のインタビューに答えた。