12月7日(火)
歌謡ファン待望の第十回ブラジル紅白歌合戦で、白組が劇的な逆転勝利を遂げ雪辱をはたし、NHK優勝旗は白組の江島憲昭キャプテンの頭上にはためいた。満員の客席からは盛大な拍手が贈られ、赤組からも白組の健闘が称えられ、蛍の光を全員で歌って華やかな歌の祭典を締めくくった。これで通算成績は白組の四勝、赤組の六勝となった。
今大会は、日伯音楽協会(北川彰久会長)及び日本アマチュア歌謡連盟ブラジル本部(同会長が支部長)の主催、在サンパウロ総領事館とNHKの後援。五日午前九時から文協記念講堂で行なわれ、パラナ、マット・グロッソ、サンパウロ三州からコロニアの人気歌手、紅白五十組百人が出演し、NAKバンドの伴奏により約九時間にわたる大歌合戦を繰り広げた。
審査は石田仁宏名誉委員長(総領事)、小松雹玄国際協力機構のブラジリア事務所長、国際交流基金サンパウロ文化センターの吉井弘所長が招待審査員を務めた。羽田宗義審査委員長をはじめ、上原幸啓文協会長ら各日系団体、企業代表など四十人の審査団により行なわれた。
この日は、町村信孝外務大臣及び自民党の武部勤幹事長から祝電が寄せられ、閉会式で石田総領事が代読し、関係者はもとより観客を感激させ、歌合戦は一層の盛り上がった。
特に近く帰国する渡辺博領事は二回目の出場を果たし、「島唄」を熱唱。盛大な応援と一体となり場内を沸かせた。
また最優秀歌手には、マット・グロッソの吉原いせこさんとサンパウロの吉川年秋さんが選ばれた。
羽田審査委員長は「麻州やパラナ州の歌手の高レべルは地元の大きな刺激になってよかった。吉原さんは完全な歌い方、申し分ありません。吉川君はさすが九九年全日本アマチュア歌謡祭グランプリ歌手だけあり、難曲を見事に自己のペースで表現し、立派です」と講評した。
今回は貴重な祝電が寄せられたことで、ブラジル紅白歌合戦に対する日本側からの評価の高まりを裏付けられ、関係者は大きな喜びにひたっている。