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軍機密文書公開を命じる=ブラジリア連邦地裁=大統領、控訴を断念=アラグアイア事件解明へ=失そう者遺族の悲願叶うか

12月8日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】ブラジリア連邦地方裁判所(TRF)は六日、アラグアイア事件の機密文書に対する政府の封印申請を棄却し、文書公開の判決を下した。ルーラ大統領は、政府が同件で控訴しないことを表明した。この判決で、軍政時代の失そう者問題に改めてメスが入ることになる。七二年から七五年に暗殺された活動家の遺体埋葬地を政府が解明するよう判決は命じている。裁判長は、国防相や法相に決定事項の遂行方法を指示するよう要請した。

 同判決により、政府が初めて失そう者遺族の権利を認め、要望に応えることになった。政府は失そう者の埋葬場所と、その後の遺骨遺棄場所の解明を命じられた。十月に軍上層部が発表した声明では、機密文書の多くは持ち出され、個人の所有となり散在したとされている。
 高等判事らは同公判後、アレンカール国防相やバストス法相、フォンテレス検事総長、シウヴァ国家情報局長官、ブサト弁護士協会(OAB)会長、コスタ連邦総弁護庁長官、三軍の長他、関係高官を招き、裁判所判決の事項遂行のための手続きと方法を十五日以内に指示するよう要請した。
 ソウザ・プルデンテ裁判長は、当件が抵触する人権蹂躙について逐一説明した。失そう者は強制連行のうえ永久に人権を侵害され、今日まで浮かばれずにいる。遺族は失そう者がどのように殺害され埋葬されたかを知る権利があるという。遺族が失そう者の遺骨発掘を裁判所に要求するのは当然の権利だとした。
 同裁判長は政府関係者を招き、原告の要望に応じることを願った。政府がこれまでのように軍政時代を闇に葬ろうとする態度を続けるなら、司法府は同件で強制執行の手段を執ることもあり得ると告げた。
 同公判に同席したマイエル判事は、政府が司法判決の遂行を免れるため、これまで詭弁を弄したと述べた。同裁判長は、詭弁は法廷における言い抜けで刑事犯罪に相当するとした。
 大統領も軍政の犠牲者であり、遺族が犠牲者の遺骨を受け取って失そう者を人間らしく葬るのは当然のこととして、同判決に協力するだろうと同裁判長は述べた。
 大統領が控訴断念を発表した後、法相は裁判所判決を吟味すると述べた。法相は軍部との葛藤を考慮し、控訴する考えだった。ミランダ人権相は裁判所判決と大統領発言で、政府は遺族の要求を正式に認めたとの声明を発表した。前政権が機密文書の封印を法令化したことも、再検討する必要がある。
 アラグアイア地方の活動家掃討作戦に参加した兵士は、特別訓練と称して召集されたという。参加兵士は三千人とされ、作戦は秘密裏に行われた。当時少尉として指揮を執り、現在ピアウイ州の州議として公務に携わるシャビエル氏は次のように証言する。
 司令部の命令は、パラー州南部とトカンチンス州北部で活動家を捕縛または殺害することだった。捕縛者の拷問は、生まれて初めての経験であったという。同氏の記録によれば、ジェラウドのコードを使うジェノイーノPT党首は殺害されたという。後日、生身のジェノイーノ氏を見て同氏は不審に思ったと述懐している。