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呉越同舟のPT政権=まとめに苦しむ大統領=左派と前政権踏襲派で確執=外資保護に精彩欠く現政権

12月8日(水)

 【エザーメ誌】労働者党(PT)には、五反風呂敷派と不言実行派が同居している。前者は農地占拠運動(MST)に始まり遺伝子組み替え農産物反対、中央銀行の独立権限反対、経済の中央集権反対を唱えるグループ。後者は背後で着々布石して政策を実施するグループだ。呉越同舟PT丸の船旅はどうなっているのか、エザーメ誌は分析した。

 政権の当事者として心血を注ぐべきことは、インフレ抑制と各種契約の履行、債務決済、農業振興、輸出増進、インフラ整備などだ。五反風呂敷派は口数が多く派手だが、不言実行派は黙して目立たない。政府を支える社会団体にも、平行する二つの派閥がある。相反する性質の両派をまとめなければならない至難の役割がルーラ大統領の双肩にかかっている。
 不言実行派は〇二年六月にPTが国民に公約した経済政策を固守して一歩も譲らない。それは前政権の経済路線を忠実に踏襲し、さらに輪を掛けて堅実化した。経済政策については、PT議員らは次回選挙で労せず得をする。この呉越同舟が一般国民にとってPT政権の分かり難い部分とされる。
 政権獲得のために後者は利用されただけ、ともいえそうだ。PTは政権獲得後、政治の実権を前者に一任した。そのため党は真っ二つに分裂した。政治学者の間では、財務相と産業開発相、農相と関係省庁の高官がそれぞれ一派を成し、残りが他派を形成するとみられている。
 ブラジルにとって幸運だったのは、シウヴァ環境相が農相に入閣せず、レッサ開発銀行総裁が財務相に就任せず、ドゥトゥラ都市開発相が産業開発相に起用されなかったことだと学者らは皮肉る。これら反主流派が辛辣な意見を述べても、馬耳東風に聞き流すのがPTにとって良策という。
 しかし、呉越同舟の政治形態で閣僚らが同一方向へ漕ぐだけでも政治運営は困難なのだ。二派でそれぞれの方向へ漕ぎ出したら、問題はさらに複雑になる。例えばMST(農地占拠運動)リーダーのステジレ氏は、味方なのか敵なのか。いずれ勝ち馬に乗るつもりでいると思われるが、MSTをなだめるだけでも精力を消耗する。
 PTが耳を傾けるべき忠告は、英国のケアネイ・コンサルタントが警告した、国際投資家の機嫌にもっと関心を払うことだ。政府の海外投資家への配慮が、ますます疎かになっている。ブラジルの投資有望国ランクは、昨年の九位から今年は十七位に落ちた。
 かつては世界で三番目に有望視された国が、なぜこうも没落したのか。ブラジルに投入された外資は九〇年に十億ドルだった。それが二〇〇〇年には三百三十億ドルに上がった。これをピークに〇三年は百億ドルにまで下げた。〇四年は百十億ドルで低迷している。
 ブラジルはPTの政権獲得以来、外資を保護していないと外国紙は批評した。ブラジル政府は外資導入政策で精彩を欠くといわれる。それから海外投資家らは、長期的に見てブラジルが発展するかどうか疑問だという。投資家の疑問払拭のための決定打が六つある。
 公共料金の調整基準法、会社更生法、中央銀行の独立権限法、労働法、税法の改正などの法整備、市場開放の六点だ。この中で最も重要なのが会社更生法。PT不言実行派の活躍を期待するが、五反風呂敷派が協力してPTを盛り上げてくれるなら申し分ない。

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