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亜国の輸入制限案を拒否=伯政府、毅然と臨む=際限ない要求に初めて断=メルコスルの趣旨に反する

12月9日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】政府は七日、アルゼンチン政府から要請されたセーフガード(輸入制限)方式による製造業保護を拒否することを閣議で決定した。同件はジルセウ官房長官やアモリン外相、パロッシ財務相、ロドリゲス農相など関係閣僚の間で協議され、最終的にルーラ大統領の意向で決定された。来週オウロ・プレットで開催するメルコスル首脳会議に向け、同件の早期解決が求められている。ブラジルの経済使節団が近日、隣国を訪問し政府の考えを伝える。

 再々亜国の輸出抑制要求に譲歩してきたブラジル政府が、同国政府に対し毅然とした態度で臨んだのは今回が初めて。ブラジルの輸出を自動的に抑制する緊急輸入制限(セーフガード)を導入することにつき、亜国政府はブラジル側の理解を求めていた。
 政府の拒否回答で、ブエノス・アイレス市の連絡会議は中止された。七日の閣議には産業開発省からフォルテ長官が産開相代理で、大統領府で国際問題を担当するガルシア顧問などが担当官として出席した。
 亜国の要請は、メルコスルの趣旨に反する。ブラジル政府は既に亜国に対し、冷蔵庫や乳製品、繊維などの輸出自主規制に応じてきた。政府は来週のメルコスル首脳会議で番狂わせがないように、亜国のセルフガード要求を前以て解決する考えだ。首脳会議の席で断るよりも、前以て拒否の回答をしたほうがよいとみている。
 オウロ・プレットの首脳会議は、重苦しい雰囲気の会議になると予想される。ブエノス・アイレス連絡会議の中止も、亜国側を苛立たせた。クスコで七日に開催された南米共同体構想を議題とした首脳連絡会議では、ルーラ大統領を除くメルコスル代表の全員が欠席した。
 伯亜間では〇三年、ラヴァーニャ亜財務相がブラジルを訪れたときも、セーフガード設置案が出た。ラヴァーニャ案は両国の経済成長率に五%以上の差が生じた場合、セーフガードを適用するものだった。しかし、ブラジル側は難色を示した。
 今回の亜国の提案は、両国通貨の為替レートに大きな差ができた場合セーフガード方式を適用するというもの。ブラジル側の財務省スタッフは、納得できないと同案を認めなかった。セーフガードは、生産と雇用にも大きな影響を与えると予想される。
 セーフガードの他に亜国は、外資の導入にも条件を付けた。ブラジル政府が外資導入のために行っている税制恩典は、亜国への外資流入の妨げとなっていると亜政府は考えている。外資導入政策は他国への影響を考慮して立案すべきだと亜国はいうのだ。
 ペルーのクスコで開催された南米首脳会議は、南米共同体の構築を協議するものだった。ルーラ大統領は、同構想に期待し勇んで出席したが、亜国やウルグアイ、パラグアイが代理を送ってお茶を濁した。
 南米結束の旗手を自任するルーラ大統領は、演説に拍子抜けした。大統領の希望と抱負をよそに、南米各国の政府は南米大陸横断道路が象徴する財政難や諸国間の弱い団結で、構想を疑問視しているようだ。