12月10日(金)
サンパウロ市から五百三十キロ離れた、鶏卵で有名なバストス市がブラジルで初めてバイオマス(生物体)エネルギーで電力生産する可能性が出てきた。市議で獣医のカキモト(柿本)ケンジ・セルジオさんは、去る十月末、鶏卵生産者を対象に、鶏糞を利用したバイオマス発電に関するセミナーを、欧米で実績のあるUT環境社の担当者を招いて開催した。
同市には七十九の養鶏場に九百万羽の鶏が飼育されており、毎月八千トンの鶏糞を生産。この鶏糞にピーナッツ、マンジョッカの皮やサトウキビの絞りカスを混ぜて発酵させ、エネルギーを取り出し発電する。
計画では二十万人都市への電力供給が可能。また排熱を利用して肥料もできる一石三鳥のバイオマス・プラントの実用化を検討している。これにはバストス農村組合会長のコガ・ウエリントンさんとトヨシマ・シゲユキ同市副市長も参加している。
しかし同プラント建設には三千万から五千万ユーロの投資が必要であり、生産コストも電力や水力発電に比べて高い。またブラジルでは、今のところバイオマス発電が、許可されておらず問題点も多いが、将来のクリーン・エネルギー源の一つと期待されている。すでにドイツ、オーストリアやポルトガルでは実用化されている。
カキモトさんは「ピーナッツやマンジョッカの皮などの廃物利用で、クリーン・エネルギーや肥料まで生産できるこの計画は、解決する問題点も多いが、ぜひ成功させたい」と強調している。