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政府、対亜報復を宣言=輸入制限するなら=農産物を対象に同様の措置を=譲歩の余地なしと亜国

12月15日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】貿易会議所(CAMEX)のマリオ・ムナイニ所長は十三日、アルゼンチン政府がブラジル産輸出品へのセーフガード(緊急輸入制限)方式実施に踏み切るなら、政府は報復措置を講じる用意があることを明らかにした。アルゼンチン産の小麦や米、ワイン、にんにく、たまねぎを対象に同様の措置を採る考えだ。南伯地方の生産者がこれら農産物のアルゼンチンからの輸入急増を抗議したことに、政府が応える形となる。

 オウロ・プレットで十三日に開催されたメルコスル首脳会議で、混乱を承知の上、アルゼンチン政府が再度セーフガード方式の強行実施を通告した。ブラジル政府も同様措置で報復すると声明を発表した。
 ブエノス・アイレスで十日に行われた大使級会議では、一月までにセーフガード方式の容認可否について結論を出すことになった。これまでアルゼンチンの要求を飲んで、ブラジルは再々譲歩してきた。しかし、アルゼンチン側の輸出はワイン一〇四・五%、米四九・七%、たまねぎ八・四%とそれぞれ増加した。
 両国間には、経済成長の度合いや為替管理の温度差がある。怒涛のように押し寄せるブラジル製品が、アルゼンチン到着後に積み降ろし拒否に合う問題が再三発生した。その調整のためセーフガード方式を一方的な都合で採用しようとするアルゼンチン政府のやり方に、ルーラ大統領自身が反発した。
 さらに投資国からアルゼンチンを外してブラジルへ進出し、輸出攻勢でアルゼンチンを不利な立場に追い込んだ多国籍企業を差別する制度をアルゼンチンは提案した。ブラジルは同案を拒否し、代案を提出することにした。両国は産業発展の方策やインフラ整備のための金融制度、輸出振興のための産業政策が根本的に異なる。だから外資導入については、ブラジルの開発計画の長い歴史も説明しなければならない。
 一方、メルコスル首脳会議は伯亜間のセーフガード方式を二次的問題として保留し、大局的議題だけで協議が行われる。十三日初日に議題に上ったのは、メルコスル内二国間、特にパラグアイとの重複関税とインドや南アフリカとの自由貿易協定の締結だ。
 メルコスル圏外で生産された製品は通関の際、輸入税を徴収される。ここまでは四か国とも同一。その後輸入国から隣国へ輸出される場合、再度輸入税を徴収される。これが海岸のない国に付き物の重複関税の問題で、しかもこの税は国庫税収の大部分を占めている。
 十三、四の二日間は首脳会議に向けた大使の準備会議が行われた。しかし、大きな進展は望めないようだ。アルゼンチン大使提議の四か国間経済格差の是正についての議論が予想される。同大使が対ブラジル交渉で譲歩の余地は全くないと記者団に述べた。
 政府がアルゼンチンの輸入制限に対し、「目には目を」と宣言する一方、メルコスルのマセド・ソアレス伯大使は火に油を注ぐような言動は謹むよう訴えた。問題はそれほど険悪化していないという。両国の立場が異なるだけで、各国に栄枯盛衰があるのは自然現象だと述べた。アルゼンチンは今、ツキから見放されているらしい。