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6万5千人を新規に雇用=サンパウロ州=GDP成長を反映=過去11年間で最高の水準=来年の先行きは不透明

12月17日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】サンパウロ州の工業部門の新規雇用が増加し、このまま推移すると年末までに六万五千人が新しい職場につくことになる。サンパウロ州工業連盟が発表したもので、これにより雇用水準は過去十一年間で最高となる、雇用の増加は、輸出の拡大、内需の好調に伴い、GDP(国民総生産)成長率が五%台に達しつつあることが大きな原因となっている。いっぽう来年の見通しについては、原油の高騰やドル安で国際経済が不透明なことから、本年並みのGDP成長は期待できないと不安視する向きもある。

 サンパウロ州工業連盟によると、サンパウロ州内の工業部門は十月に九千八百七十九人を新規に雇用し、これは前月比〇・六三%の増加だった。これにより十月までの本年累計は三・九七%伸長し、六万一千二百四十八人を数えた。過去十二カ月間では三・五二%増の五万四千三百五十九となった。(昨年十二月のマイナス〇・七四%が影響)。
 この水準で推移すると、年末までに新規雇用は六万五千人を超え、過去十一年間で最高となる。また、二〇〇一年と〇三年に行われた解雇を埋めるのに十分な結果となった。
 加盟企業のうち三十四業種で雇用が増加、十一業種は雇用減、二業種が横ばいを表明、大半が経済成長の波に乗ったことを証明した。なかでも建築用石材と家具は六・一八%と高率の伸びを示した。次いでパスタやビスケットが四・九七%、フランカ市の製靴が三・五八%、お菓子や保存食が二・四〇%、クリスタルガラスが二・三四%、オリーブ食用油が二・二三%、肥料と農薬が二・〇五%、鋳物が二・〇二%の増加となった。なかでもビスケットやお菓子業界は年末フェスタ用に増産体制に入ることから、さらに雇用は増えることになる。またショッピングなどの商店では、十二月に一万人以上の学生アルバイトを採用するため流通経済に大きく寄与する。
 ブラジル食品工業協会によると、全国で過去十二カ月間に新規採用は三万八千人を超え、三・六%の増加となった。本年十月までの累計では三・九%の高率を示した。これにつき同協会は、本年末の時点で生産は昨年比四・四%、売り上げは三・九%の増加になると予測している。
 好調の原因は輸出と内需の回復で、輸出は過去四年間二〇%に満たなかったのが、今年は二七・五%とダイナミックな躍進を遂げた。また内需も景気回復とクレジット販売の増加で購買力が増したと分析している。しかし、来年度については国際経済が不透明なことから、GDPが本年並の成長を継続するか疑問だとの見方を示している。さらに一般家庭ではセルラーやTV衛星放送などの出費が増えることで、購買力が低下すると危惧している。
 いっぽうで国際労働機関が十日に発表したところによると、ラテンアメリカ諸国の失業率は昨年の一一・一%から本年九月までに一〇・五%へと減少した。本年末の予測は一〇・四%とのこと。これにより失業者は全域で一千九百五十万人となる。同諸国のうち、GDPの九五%を占める十一カ国を対象に調査したところ、失業が減少したのは六カ国(アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、エルサルバドール、ウルグアイ、ベネズエラ)で、増加したのが四カ国(チリ、エクアドル、メキシコ、ペルー)、横ばいがコスタリカと報告された。