12月18日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】ジルセウ官房長官は十六日、ブラジル連邦国税省を新たに設立すると発表した。新省は国税庁と社会福祉庁を統合して独立させたもので、国税庁が担ってきた税金の徴収と、社会福祉庁が担ってきたINSS(年金)の積立金徴収と年金の支払い業務を遂行する。
この案はルーラ大統領の発案で、官房長官とパロッシ財務相とが腹案を練っていた。その結果、今回の大型新省の設立発表となったものだが、関係省庁とのすり合わせを経た後、承認の運びとなる。
政府の意図するところは、課税算出基準が現在最も不透明な国税(連邦税)の脱税を取り締まること、および、年金に巣食う汚職を断絶することにある。また年金の手続きが煩雑で時間が掛かるとの不満を解消するとしている。
ルーラ大統領は今年十月に社会福祉庁を独立させ、来年の積立金の徴収目標である十九億五千万レアルの徴収準備をさせていた。しかし一九九四年から九七年の間に支払いミスがあったことを法務省に指摘され、この支払いに百二十三億レアルが必要となることが判明した。
このため来年の年金支払い予算十九億四千万レアルに、ミスで発生した支払い分三十一億三千万レアルが加算されたため、予算オーバーとなった。これを受けて、年金支払いや積立金の内容を根本から洗い直す必要が生まれ、今回の新省設立発表へとつながった。
同長官によると、一例を挙げると、アグロビジネスは今年過去最高の生産を記録しながら、INSS積立は従来と変わらない二十八億レアルだったという。これに限らず国内全ての産業に、課税対象を広げていくとの考えを同長官は示している。