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5人に1人は出生届なし=北部と北東部で多く=登記所までの交通費に事欠き

12月23日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】全国で昨年に出生届が出ていない子供が、七十四万五千人実在し、この数は昨年の出生数の二一・六%に相当する。公的にはこの子供らは世の中に存在しないことになる。
 ブラジル地理統計院(IBGE)の調査で明らかになったもので、全国五千五百六十二の都市のうち、三千六百の都市にこうした子供らはいる。しかも一九九三年には出生総数の二三・四%だったのが、二〇〇三年には二一・六%に減少したものの、十年間でわずか二%弱の減少というお粗末さだ。一九九七年には過去最高の二四・八%となったことから、政府は出生登録を無料として登録促進運動を展開したため、九九年は一時的に一六・五%まで減少した。しかしその後、元のもくあみ状態となり、〇一年からは現在のレベルに逆戻りした。
 この傾向はブラジル北部や北東部地方に強く、とくに奥地では登録をしないまま一生を終える人が多いという。このため未登録が代代継続されるという。全国には登記所が八千三百カ所あるが、出生登録の必要性を感じないほか、登記所までの交通費に事欠く人が多いのが主な原因だという。
 さらに文盲が多いため、役所の煩雑な手続きや、官僚主義の役所仕事を敬遠する傾向にある。また私生児や、父親に認知してもらえないことで登録をちゅうちょする母親も多い。いっぽうで、選挙の年に登録をする人が増えてきている。選挙資格を有することで、候補者から何がしかの金品贈与にあやかるのが目的だという。
 IBGEではこのため、ブラジルの人口をはじめとする統計の実態把握は困難だとし、ひいては政策に影響するとしている。ただし政府が推進している貧困援助(飢餓ゼロ運動)や学費免除には身分証明書が必要なため、今後は登録が増加するとの見方を強めている。