12月23日(木)
十九日午後零時三十二分、阪本真理子さん(57、大阪)と伴走者の関根考二さん(49、埼玉)がブラジルのサントスからペルーのリマまで約五千キロを八十九日かけ見事に走り抜け、リマ市のコレヒオ・デ・ラ・ウニオン競技場にゴールした。
オーストラリア、北アメリカ、ユーラシアに続く、四つ目の大陸横断は女性世界初となる快挙だ。
同競技場入り口で地元日系人会が用意した横断幕の出迎えを受けると、そのままトラックを一周して自分たちで用意しておいたゴールテープを振り切った。サッカーをしていた人たちも一時プレーを中断、歓声を上げ大きな拍手を送った。
阪本さんは「今回は二人だけじゃなく、ずっと付き添ってくれたペルー人の運転手もいて、みんなで一つのことをやりとげたという喜びでいっぱいです」と、声を弾ませた。ゴールでは涙ぐみながら三人で抱き合うシーンも。
「『みんな』の中にはもちろん各移住地の人たちも入る。ずっとコロニアの方に応援して頂いて、いろんな方と接触でき、大きな力になりました」
「南米移民街道走り旅」とのサブテーマを掲げ、移民の着地港サントスに始まり移住者の多い地域を選んで走った。「百年近く前に来て、そこに日本の文化を育て、本当に苦労されて今を築き上げてきたことに感動します」
ブラジルからボリビアに入り、標高四千メートル超級のアンデス山脈を越え、ペルーへ。心配された治安面では特に危険な目にも会わなかったが、「車がとても怖かった」と阪本さん。人が轢かれる場面にも遭遇。また、アンデスでは高山病に苦しんだ。
一日五十キロから六十キロのペースで走り続けた。「八十日以上も走り続けると、習慣になるんですよ。普通の人が朝起きて働きにいくような感じで走っていました」と、語るのはオーストラリアからずっと阪本さんと共に走りつづけている関根さんだ。
ボリビアのコチャバンバで、地元の音楽学校生徒が「君が代」「翼を下さい」など日本の歌で出迎えてくれたのがとても心に残っているという。「久しぶりに聞く日本の歌がとても懐かしくて感動した」
「いつも前向きに、常に楽しくいろんなものを見ながら走っていた」と阪本さん。人に会い、景色を眺め、各地の文化に触れる。「走りながら旅をしてました」と言葉を結んだ。
阪本さんは筋肉痛になったことが無いという。電話越しの声も疲れとは無縁といった感じの元気な声。次ぎの旅への期待が高まる。